エネルギーコンサルタント・越智文雄の「持論・時論・自論」+ 蛍光管製造禁止に関わる諸問題(4)

空調の自然冷媒ガス導入で電気料金が3〜5割削減!

「一般社団法人次亜塩素酸水普及促進会議代表理事」、「日本除菌連合会長」として感染症防止対策に奔走する一方で、「日本の灯りを護る会代表」として照明の2027年問題に提起を続けてきたが、もうLED化の必要性は十分理解したという人のために、新たな分野で社会貢献を果たすべく行動範囲をさらに広げることとして、日本自然冷媒研究開発機構の理事に就任した。「電力消費量を3~5割削減できる」という空調分野での自然冷媒ガスの情報提供、普及拡大に取り組み始めるので、どしどしお問合せいただきたい。

当社が自然冷媒ガスに関心をもった最大の理由は、もちろん電気料金が大幅に下がるから。日本の電力需要の半分は照明と空調。自然冷媒ガスはクーラーや冷凍機器等に使用され、私が取り組んでいるLED照明の普及と合わせると、その両方で日本の電力消費量とCO2排出量は半分になる。このことは意外と知られていない。

 自然冷媒ガスとは、地球温暖化問題でオゾン層を保護するための取り決めであるモントリオール議定書に基づき、1989年にフロン類の製造が禁止され、これら特定フロンに代わって開発されたのが合成化合物の代替フロン。それに対し、自然冷媒ガスは、文字通り自然界に存在する炭化水素系物質を冷媒として使用するもの。世界市場では普及が先行しており、すでに欧米諸国を中心に70ヵ国以上で約800種の自動車のカークーラーや冷蔵機器などに採用実績があるという。

国が積極的に周知を図らないのは国民への〝罪〟

 空調分野の電力消費量の大幅抑制で、当然電気料金も下がる。今の日本の物価高は電気料金の高騰が大きな要因となっているが、仮に空調の電気料金が半分になれば、電気料金の国民負担は数兆円規模で改善される。家計も会社経営も自治体の財政も、どれほど負担が軽くなることか。関税ショックに苦しむ製造業にとっても自然冷媒には大きな期待が持たれている。脱炭素の方法としても照明のLED化と並んでもっとも現実的な手段である。蛍光管3億本のLED化で100万キロワット級発電所が10基いらなくなる。

こうした利点があるにもかかわらず、普及が進んでいないのはなぜか。まだ日本に上陸して2、3年の製品で国内での知名度の低さや、人々の地球環境問題への意識の不足がある。ゼロカーボンに取り組む企業や団体、地方自治体は増えているが、自然冷媒の情報が浸透しているとは言えない。

加えて、この情報を広げようとしない業界事情がある。現在使用されている代替フロンの在庫が山ほどあるから、これを使い切るまではどんなに優れた新製品でも採用できない、という空調メーカーの利権が普及を妨げている。業界は「自然冷媒ガスは燃えやすい」などのデマや「このガスを入れたら保証も点検もしない」などネガティブキャンペーンを張っている。

 こうした事情を経済産業省や環境省は黙認している。メーカーや業界団体に忖度しているのだと私は見ている。世界で使われている有効な自然冷媒ガスの使用を国が積極的に周知しないのは、国民に対して“罪”である。電気料金の高騰と物価高にあえぎ、電気料金がもったいないばかりに熱中症になってしまう人もいるのに、どうして広めないのか! と声を大にして言いたい。(次回は、5月5日に配信予定)越智経歴