エネルギーコンサルタント・越智文雄の「持論・時論・自論」 ~ 夢のエネルギー原子力(6)
第7次エネルギー基本計画と2027年照明問題
前回で論じた「エネルギー基本計画に照明と空調の国家的省エネ効果を織り込むべき」との提起に多くのかたから賛同の声をいただいています。先日、小泉純一郎元総理の勉強会に呼ばれて講演してきました(写真)。

会場ではこんな大事なことをなぜ政府は12月24日の閣議決定まで放置してきたのか、原子力再稼働のシナリオを崩されないように基本計画で省エネに触れなかったやり方に怒りの声が上がっていました。
なにせ、2023年11月に締約した27年蛍光管製造禁止の事実を、結果的に一年間公式発表もせずに24年12月24日まで閣議決定を行なわなかったのです。その1週間前の12月17日に第7次エネルギー基本計画案が発表され、年末年始を挟んで実質ひと月もない期間でのパブリックコメントをやり過ごしシナリオが確定しました。
閣議決定を行い、確実に起きる何千万キロワットにもなる省エネ行動にも触れずに最初から理論破綻している計画です。所詮、絵に描きそびれた餅であり、3年後にどんな改訂がされるか楽しみですが、今回の罪は3年半で日本人の照明を交換するというこんな途方もない条件を飲んだ国際会議の担当者たちと、その事実を隠し続けて一年間何の対策も取ろうとしなかった人たちです。
12月3日には中国は米国へのガリウムの輸出を禁止しました。これからLED資材の獲得戦争には米国も参入します。日本は貴重な1年間を絵に描いた餅のせいで無駄にしたことで、あと2年半で日本中の照明をLED化しなくてはならなくなりました。心から申し上げます。今すぐに見積もりをとって1日も早くLED化を済ませてしまうことだけが、自分の灯りを護る唯一の方法なのです。(次回は、2月17日配信予定)