エネルギーコンサルタント・越智文雄の「持論・時論・自論」+ 特別鼎談「最新の国際情勢と国内の課題」 (3)
川田 まさに今、越智さんが仰った「いのちより利権」の構造こそが薬害エイズ事件の元凶でした。コロナ禍のような緊急事態下ではそうしたチェックも効かなくなりますから、普段から情報公開を徹底し、いざとなった時に感染対策に日本の優れた技術を速やかに適用する仕組みを作っておかなければなりません。
国が昨年設置した「感染対策危機管理統括庁」はいまだ具体的な活動方針も見えていませんが、コロナ禍での同じ失敗を繰り返さないよう、片山さつき議員が会長、私も副会長を務める「感染対策を資材と技術から考える超党派議員連盟」では、政府の感染対策に具体的な資材と最新の知見を準備していくことを求めていきます。
越智 7月には参議院選挙があり、日本の政権の行方が占われますが、国会の動静と主な論点はどのようなものになるのでしょうか。
川田 マスコミはアメリカの関税対策一色の報道ですが、実は今、日本はこの夏の選挙の争点になるべき多くの危機に直面しています。私は薬害エイズ事件の当事者として2007年に国政に入り、「いのちを守る日本」の実現に生涯をかけています。ところが今日本では、国が認定したコロナワクチンの健康被害が1万件、死亡事例が千件を超えるという、過去最大規模の薬害と言わざるを得ない状況です。
使われている遺伝子製剤の検証と救済を即座に行い、今後のためにも国としての薬の承認システムやそこに関わる委員の利益相反問題、デメリットだけでなくメリットも情報公開する薬害阻止の仕組みを作らねばなりません。
トランプ発言で火がついた消費税の問題も、実は医療機関の財政と深く関わっています。また、国民の健康を守るため不可欠な国産のタネと農家と食の安全を外資から守る「ローカルフード法案」を4年前に作り、今国会で成立を目指しています。
堤 実は消費税はトランプさんが初めてじゃなく、アメリカは1969年からずーっと文句を言っていました。アメリカからすれば輸出戻し税=補助金なので。翻ってこれは日本にとっても、医療機関も農家も中小企業も打撃を受け、格差を拡大するのが消費税ですから、見直しのタイミングでしょう。
その一方で、アメリカファーストのトランプ政権との相互関税ディールの中で、かつてないほどに日本の農業が犠牲にされる流れが心配です。これまでも財務省は車を中心に、農業と引き換えに輸出企業を守ってきたからです。米騒動でアメリカ産輸入米がどんどん入ってきていますが、あれは序章に過ぎません。アメリカ国内で禁止されている薬剤や添加物入り食品が政府と商社の圧力でさらに流入し、日本人の健康を害していくでしょう。私たち日本人は自分と家族のいのちと健康を、いよいよ自分たちの力で守らなければならなくなってきました。
越智 自分たちの命を自分たちで守るという意味では、ウクライナやガザで起きていることを他人事と見るわけにはいきません。
堤 ええ、その通りですね。戦争というと、尖閣諸島問題や台湾有事ばかり焦点があてられますが、実は越智さんがよくおっしゃる北方領土のロシア基地の存在が、地政学的には1番近い防衛上の大問題でしょう。(次回は、6月9日配信予定)