エネルギーコンサルタント・越智文雄の「持論・時論・自論」+ 東日本大震災から14年(1)
2027年度灯りが無くなる ─もう受注生産は始まっている─
2011年3月11日から14年。いま、フジテレビ不祥事でACジャパンの見慣れないCMが多く流れている。あの震災の後も、毎日途方もない数の映像が流れていた。全国のほとんどの人たちがノイローゼに近いショックを受け、被災地の復興と日本の未来を祈っていた。私の後半生の仕事となった「あかりみらい」は、この時の原子力発電所完全停止による未曾有の電力不足をなんとかするために、時の菅政権が閣議決定した「あかり未来計画」からいただいたものである。
経済産業省と環境省と日本照明工業会が一体となり、日本中の明かりをLEDにすることで原子力がなくても日本の未来の電力を間に合わせられるのではないかと政府は必死のキャンペーンをはった。お陰で電気料金は当時の倍以上になってしまったが、いまでは何とか日本の産業も経済も復活した。
この間、コロナパンデミックというこれまた未曾有のとんでもない厄災が世界を襲った。迷走の極みともなった日本は社会経済も文化も精神もボロボロになり、非科学的決断と利権のごまかしによる国民の神経症的トラウマはいまだに精神と社会生活に跡を残している。まだ5年前のボロボロになった青いチラシを貼ったままにして、とっくに効果の切れたのではないかと思われるようなアルコールの容器を飾っている事務所もあるが、いい加減正しい知識を確認して片付けてしまいましょう。
いまでは不動産はバブルとなり、観光客もオーバーツーリズムとまで言われている。円安で大きな差益を得た海外客の財布に合わせたホテル代や飛行機代は私たちの生活を苦しめている。ロシアのウクライナ侵略から電気代は倍増し、あらゆるものが値上がりしている。多少の人件費が上がっても、はるかに支出が多くなっていることをなぜ分析しないのか。アメリカのトランプ政権では、侵略されたウクライナ資源を取引材料にしようとしている。侵略国を咎めずに、自国が経済侵略をしようとしている。
この14年の間に世界はなんと大きな変化が起きていることか。なんと不条理な世界になってしまったのか。この世界災害、行政災害とも言える傷跡に苦しみ続けている人たちと、いま現在の大きな変化に戸惑い不安を感じている人たち。みなさんが自分たちのできることで世の中に役立っていくしかない。(次回は、3月17日配信予定)