2023年我が社の環境ビジネス戦略 オオスミ 社長 大角 武志 氏
――新社屋を建設されたそうだが。
現在の分析ラボを兼ね備えた本社屋が手狭となったので、新しい分析装置を備えた4階建ての新社屋を倉庫があった場所に建設した。新社屋の特徴は、最上階に多目的実験室を用意したことだ。企業向けの環境セミナーや子供への職業体験、環境教室などを開催する予定だ。マイクロプラスチックの簡易分析計もあるので、プラスチックの種類や環境影響の勉強もできる。子供たちに環境分析の仕事もあることを伝え、優秀な人材を育てたい。下の階は分析ラボとなっており、作業効率の向上や働きやすい環境にすることを目指す。日本EDD認証推進協議会の会員となり、将来は、計量証明書の電子化に向けた取り組みも行っていく。
――その他社内改善の取り組みは。
新社屋建設時に伐採したクスノキは小学校の椅子としてアップサイクルされている。廃プラ問題を考え、当社内自販機はペットボトルをなくしている。近所の生態系を再現した水槽設置や、小中学生の環境絵画も外周に設置している。太陽光発電設備を本社屋上に設置、再生可能エネルギー電力の購入と併せて再エネ100%を達成している。
――昨年業務の状況は。
アスベスト調査・分析はさらに伸びているし、土壌汚染調査も堅調だ。今後も伸びが期待されるのは省エネ診断などのエネルギーコンサル業務で、単に機械を省エネ型に替えるだけでなく、細かな設備のエネルギーの無駄遣いを発見するのが特徴だ。省エネは光熱費の削減にもつながり、エネルギー診断に国や都などの補助金も付くのでやらない手はない。
――海外での省エネコンサル事業は。
現在ベトナムで主に日系企業を中心に行っている。コロナ禍でも現地の担当者が業務を行っており、多くのご依頼をいただけるようになっている。アジア諸国の省エネや脱プラのコンサルにも注力する。シンガポール駐在所も開いた。
――横浜市で環境イベントを開催したそうだが。
当社の使命は地球環境を守ることと考えており、環境活動をする国内の企業や店舗の好事例を紹介する「ZERO CRONICLE(ゼロクロニクル)」と称する環境マガジンを年2回発行している。その関連で「LOUD&PEACE(ラウドアンドピース)」というSDGsフェスイベントを9月に緑区で無料開催した。今回のイベントは食がテーマ。横浜で食と環境のために活動する方々への理解を深め、食について、楽しく学んでもらえればと思っている。今年は脱プラをテーマとしたイベントを9月頃開催する予定だ。
横浜の歴史・水辺環境を感じることができる「よこはま運河チャレンジ 2022」(濱橋会)にも参加、子供対象の環境分析ブースを出展し、200名を超えるお客様にご来場いただいた。
――ウェブセミナーも開催しているが。
「オオスミ環境ウェビナー」を開催しており、昨年10月時点で開催32回となる。専門的な内容に関わらず毎回100人を超す参加者が聴講している。顧客向けにリアルセミナーで行っていたものをウェブ化した。ライブ開催は無料で行っており、今後も毎月行う予定だ。企業には環境の専門家が少なくなりつつあり、環境規制も細かくなってきている。講師は当社の技術社員が主に務める。環境管理の一助になれば幸いだ。
過去にセミナーを聞き逃した人を対象にこのほど有料で動画配信を開始した。全15プログラムを今年は特別価格3万3千円、1プログラム5500円で提供する。
――他社への講師派遣も行うのか。
セミナー講師派遣や出張セミナー、カスタマイズセミナーを有料で行っている。建設会社の新入社員向けセミナー依頼など、講師派遣の要請も増えてきた。中小企業には「環境部長」という環境法令支援サービスも行っている。環境規制も変化している中、環境法令に対する不安を解消する。ぜひ活用してほしい。
――今年の目標は。
「環境部長」を広げることと、セミナー参加者の増加である。そのために専門社員の教育も必要だ。エコ検定を社員全員で取得する取り組みを行っており、現時点で約半数の社員が取得している。社会貢献も引き続き行いたい。私のモットーは「評論家でなく行動家であれ」だ。
