ネイチャーポジティブ時代における下水道システムの役割~沿岸海域の物質循環の視点から~

生態系サービスの持続利用へ相互利用と協働を
第一歩は「物質の流れ」の視点の共有

東北大学大学院工学研究科土木工学専攻(兼担)変動海洋エコシステム高等研究所海洋環境統合解析ユニット 坂巻 隆史

下水道システムは、水域の水質管理だけではなく、生態系保全・再生や生態系サービスの持続利用に資するものでなければならない。今後は、活発さを増すネイチャーポジティブに向けた動きと、下水道システムの関わりも考える必要がある。それは、下水道管理者だけではなく、水域を利用する利害関係者が共に考えて取り組むべき課題である。生態系サービスの持続利用のための利害関係者による相互理解と協働の第一歩は、「物質の流れ」の視点の共有だと考える。

ネイチャーポジティブ時代における下水道システムの役割~沿岸海域の物質循環の視点から~ 生態系サービスの持続利用へ相互利用と協働を 第一歩は「物質の流れ」の視点の共有 東北大学大学院工学研究科土木工学専_図1 沿岸海域における栄養塩・有機物の流れは、さまざまな自然現象や人間活動とつながり、さらに利害関係を形作っている。養殖漁業における施業改善や干潟・藻場などの保全・再生の取り組みも、規模が小さくとも、必ずそれらの物質の動きと相互に作用しあっている
図1 沿岸海域における栄養塩・有機物の流れは、さまざまな自然現象や人間活動とつながり、さらに利害関係を形作っている。養殖漁業における施業改善や干潟・藻場などの保全・再生の取り組みも、規模が小さくとも、必ずそれらの物質の動きと相互に作用しあっている

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