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エネルギーコンサルタント・越智文雄の「持論・時論・自論」 ~ 夢のエネルギー原子力(2)

あえて目をつぶっているのか 

政府にとってまったく予想もしていなかった方向から、原子力再稼働の需要拡大説が覆ることになりそうである。

環境新聞の紙面で何度も警告しているように、昨年11月のスイスジュネーブで開催された水銀水俣条約において2027年の蛍光管製造禁止が決定した。この背景には、LED原料のガリウムを98%保有する中国の資源戦略があったようだが、共同議長国である日本も政府、自治体、民間の全ての照明があと3年でLED化されることになる。

昨年来、経産省情報産業課や環境省水銀対策推進室、経産省化学物質管理課に問い合わせているが、この条約締結においては日本の照明需要の調査は想定もされていなかった。いまだにLED化が必要な照明の総量調査も行われず、そもそも民間に発表もされていない。わざと発表しないでいるのか。

私の会社「あかりみらい」の本業である自治体の一括完全LED化事業では、1780都道府県市町村で数億本の蛍光管をLED化する必要があると想定している。仮に40ワットの蛍光管3億本を11ワットのLED蛍光管タイプに交換したならば、安定器の消費電力も含めておよそ1000万キロワットの消費電力が削減され、原子力発電所10基分が不用になる。

これが3億本でなくて民間や政府施設も含めて10億本だったならばどういう計算になるだろうか。

11年の東日本大震災の福島原発爆発の時に、当時の菅総理大臣が「日本の照明を全てLEDにすることで原子力がなくても日本経済を復活することができる」と経産省と環境省と日本照明工業会で「あかり未来計画」を立案し閣議決定している。今、水銀公害を規制する国際条約という外圧でこの「あかり未来計画」という国策が実現しようとしている。


*この国策の名前をいただき12年間実行してきているのが「あかりみらい」。皆様のLED化の試算から資材調達、工事までお手伝いするのでご遠慮なくお問い合わせを。


さて、この千万キロワットの桁の省エネが間違いない照明の27年問題をエネルギー基本計画に織り込むことで政府カーボンニュートラル計画のLED化目標を3年間前倒しし、政府のLEDサプライチェーン対策や財政出動、電気工事士の人手不足問題、アスベスト工事規制の対策などを真正面から解決していこうというアイデアをある国会議員が助言してくれた。

この議員室で行われた勉強会には、経産省、環境省、内閣府から6人の官僚が呼ばれて照明の27年問題の情報交換を行った。当時の斎藤健経産大臣と高市早苗経済安保大臣に提言書を渡し、高市大臣から引き継いだ城内実大臣と地方創生を担う伊東良孝大臣にもレクチャーさせていただいた。

国会の場でも12月の環境委員会で川田龍平議員から照明の27年問題への質問があり、年明けの委員会でも質疑される予定である。

政府は認識している。誰も省エネの対策に反対はしない。これをエネルギー基本政策に織り込めば良いのである。(次回の配信は、1月20日予定)あかりみらい_越智文雄氏

  ㈱あかりみらい代表取締役、越智文雄
  北海道大学卒業後、北海道電力入社。電気
  事業連合会企画部副部長、北海道洞爺湖サ
  ミット道民会議事務局次長、北海道経済同
  友会などを歴任。電力業界で初代の危機管
  理担当室長の経験から自治体・企業へのア
  ドバイザーとして活躍。環境・エネルギー
  問題の専門家。(一社)日本の灯りを護る
  会代表、(一社)次亜塩素酸水溶液普及促
  進会議代表理事、日本除菌連合の会長を務
  める。札幌なにかができる経済人ネットワ
  ーク主宰。