寄稿◎家畜ふん・下水汚泥から良質堆肥を作る目的と原理と課題(その2) 京都大学名誉教授 松井 三郎
3.土づくり堆肥づくりと輪作の秘密
伝統農業の知恵は、輪作である。古来より畑に同じ作物を毎年連作すると栽培作物が病気になる経験則を知っている。連作により土壌病原微生物が増殖残存してしまい、栽培が不能になった畑を「イヤ地」として認識してきた。イヤ地に栽培を始めるには、先述の「クロルピクリン」のような強力な土壌燻蒸剤の使用がどうしても必要になる。連作障害が起こらない例外的主要穀物は稲作である。アジアモンスーン地帯の文明は稲作で維持されている。麦・トウモロコシ等主要穀物は連作できず、必ず輪作を行っている。日本では稲作以外の農業で、連作を行う(小規模農家は経営から連作に頼るがこれが農薬使用の要因の一つ)。この慣行を続けるには有機農業の特質の理解を進め、賢い連作方法に転ずる必要が出てきた。
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