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海洋環境保全と経済性の両立を目指す2プロジェクト発表 Alliance for the Blue

豊かな海を次世代に継承するプロジェクトを推進している「Alliance for the Blue(東京都港区、野村浩一代表理事)は10日に都内でメディア発表会を開き、海洋環境の保全と経済性の両立を目指し、民間企業と協働する「for the Blue」をテーマにした2つのプロジェクトを発表した。〝ものづくりを通して、海洋環境の保全に貢献するプロジェクト〟「Product for the Blue」(PfB)では、バッグやトラベルブランドを展開する2社が廃棄漁網の再生生地を採用した新プロダクトを発表。また、Alliance for the Blueの新たな取り組みとなる〝寄付などの支援を通じて海洋環境保全に寄与するプロジェクト〟「Support for the Blue」(SfB)がされた。

Alliance for the Blue
メディア発表会に臨んだ(左から)FUMIKADOの幸田代表取締役、Movedの石田代表取締役社長、III Threeの森谷代表取締役、Alliance for the blueの野村代表理事

廃棄漁網の再生生地を採用した新プロダクト等

Alliance for the Blueは日本財団の支援により設立、海洋環境保全と経済性の両立を目指す業界横断の取り組みを展開。日本に漂着する海洋プラスチックごみの中で最も多い漁網の回収と再生の仕組み作りを行っている。

今回、PfBに取り組む1社は、バッグブランド「FUMIKODA(フミコダ)」を展開するFUMIKODA(東京都目黒区、幸田フミ代表取締役)で、廃棄される漁網をリサイクルした高品質ナイロン生地を使用したバッグ「MEGAN(ミーガン)」を10日から予約販売開始した。同社は「海洋環境問題を広く知ってもらいたい、そして循環型社会の実現のために再生素材の普及に貢献したい」という思いのもと、MEGANを発表した。また、MEGAN売上の一部をAlliance for the Blueへ寄付し、海洋保全の取り組みのために役立てる。

北海道で廃棄漁網を回収、愛知県の工場で細かく圧縮・粉砕加工された再生プラスチックを原料に、高品質なリサイクルナイロン生地が開発された。同社では毎年、顧客へのアンケート調査結果を基にしたバッグを企画している。今年は、環境問題について問う項目を設けたところ、「デザインや機能に差がなければ、環境に配慮したものを選びたい」が89%、関心がある環境問題は「地球温暖化」の86.1%に次いで、2番目が「海洋汚染」が54.8%という結果となり、海洋保全への関心の高まりが確認できる結果となった。軽量ながら耐久性が高い漁網をリサイクルした高品質ナイロン生地は、女性用のバッグに適している。用途が広く、多くの人が手に取りやすいようファスナー付ハンドバッグをデザインした。

もう1社は、トラベルブランド「Aww(アウ)」を展開するMoved(東京都渋谷区、石田めぐみ代表取締役社長)。廃漁網のリサイクル素材を使用した新コレクション「Aww for the blue collection(アウ フォーザブルーコレクション)」を、15日から順次発売する。また、売上の一部は海洋環境保全活動に繋がる「藻場再生プロジェクト」に寄付される。

旅行は壮大な自然を体感できる一方で、飛行機の利用や観光地のごみ問題など環境負荷が高いとも言われている。同社は、「Awwのアイテムとともに旅を楽しむことで、美しい地球を次の世代へつなぐきっかけになることができたら」という思いから、これまでも積極的にサステナブル素材を採用してきた。今回発売する「Aww for the Blue collection」では、人気の観光地等でも近年問題となっている海洋プラスチック問題に着目。Alliance for the Blueと協働し、海ごみ問題の大きな原因の一つである廃漁網を原料とするリサイクル素材を使用した商品の開発・製造を行った。

今回の素材は、Alliance for the Blueとその協働企業が連携・協働し、開発・提供する再生ナイロンを使用している。不要になった漁網を海に廃棄される前に回収し、分別や洗浄などを経て再生ペレットを製造。製糸・織布の各過程を経て、リサイクル素材へと生まれ変わる。

新たな取り組みであるSfBでは、III Ihree(東京都渋谷区、森谷悠以代表取締役)が行う海底熟成ワインセラー事業「tlass SEA CELLAR(トラスシーセラー)」との藻場再生プロジェクトの協働事例が紹介された。III Threeは、2018年に奄美大島・瀬戸内町を初訪問し、その後環境資源を起点とした観光など地方活性化に係る外部広報に関わる中で、瀬戸内町が誇る、多様な海洋生物を育む豊かな海を最大限に引き出した観光拠点が乏しいことを実感。

また、20年に瀬戸内町と企業連携協定を結ぶ町田酒造と海底熟成のトライアルを行ったことをきっかけに、新規事業として日本で唯一海峡を持つ瀬戸内町の穏やかな海を活用した海底熟成ワインセラー事業であるtlass SEA CELLARと、そのセラーで熟成したワインが飲めるワインバー「tlass SEA CELLAR BAR Beach Club」を創業。海洋資源となるブルーカーボンやブルーエコノミーに即し、海の環境保全、地域活性化にも貢献するべく取り組みを行っている。