AI搭載型LiB検知装置―OSLiBソーターRの 開発と実用化 大谷清運 代表取締役社長 二木 玲子
1.はじめに
2020年5月に当社の産廃工場でリチウムイオン電池が原因と思われる火災が発生し、ご近所と自社を守る決意から自社開発を始めた。その経緯については、『INDUST』(2024年4月号)において述べた。本報では、OSLiBソーターの開発と実用化に向けたさらなる機能向上について述べる。
2.OSLiBソーターRの特徴
OSLiBソーターは2024年4月、低炭素投資促進機構による、22年度第2次補正資源自律に向けた資源循環システム強靭化実証事業補助金に、間接補助事業「プラごみ袋に混入しているLiB電池やレアアースをAI搭載のX線異物検査装置により検知・排除・回収する実証実験」という名称で申請し開発したもので、以下の特徴を有している。
①AI搭載型で学習機能により導入後も検知精度の向上が図れる。
②X線漏洩防止対策により、作業者も安全に操作できる。
③袋入りのままで検査可能のため、破袋機投入前に検知可能である。
④検出物を利用者の希望にあわせ変更可能で、カスタマイズが容易である。
なお、厚みのある乾燥剤などは誤検知の可能性があるが当初より想定内である。これらの物もあえて検知させることを許容しながら、LiBおよびLiB内臓品の取りこぼしを防ぐことが重要と考えている。
以上のような特徴を持つOSLiBソーターは、24年3月19日補助金交付の確定通知を受けた。なお、23年3月24日に出願した特許は23年8月14日に登録され、「OSLiBソーター」の名称も24年9月に商標登録されている。
3.さらなる機能の向上を目指す
24年4月より処理能力1.5倍以上の達成と供給機開発を掲げ開発をスタートさせた。
24年6月、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)により、 「NEDO懸賞金活用型プログラム/リチウムイオン蓄電池の回収システムに関する研究開発/NEDOChallenge,Li-ion-Battery2025/発火を防ぎ、都市鉱山を目指せ!」の募集があり、時間当たり処理量1300袋への能力向上を目標に掲げ応募、24年7月に1次選考を通過した。
簡易供給機の製作、AI判定時間の短縮を実施し、30袋の検査時間54秒まで短縮した実績を持ち、24年12月の成果確認試験を迎えた。結果は10袋の検査に18秒という想定通りとなった。一方簡易供給機では連続的な供給ができないことは事前に確認しており、エンジニアリング会社へ依頼し、時間当たり2000袋の供給が可能な装置設計を済ませておいた。
最終審査会は25年1月22日に行われ、3位入賞を果たした。大学、研究所や機械・制御メーカなど参加した中で一中間処理業者が入賞でき、栄誉あることと感じている。