エネルギーコンサルタント・越智文雄の「持論・時論・自論」+ 蛍光管製造禁止に関わる諸問題(3)
空調の知らされない真実
省エネルギーにおける不正義というテーマで忘れてはならないのは、空調分野で電気代が半分になる可能性が国民にも、経済界や産業界にも知らされていないことである。地球温暖化問題で、空調の冷媒ガスとして使われているオゾン層を破壊するフロンの撤廃が決まり、現在は代替フロンというガスが使われている。ただし、世界ではすでに第3世代のCO2を出さない自然冷媒ガスが普及し始めており、欧米の800種の車のカークーラーや冷蔵機器等には、CO2を出さない自然冷媒ガスが義務付けられていると言う。
日本にも、この最新の世界特許製品は数年前から輸入されているのだが、まだ知られていない。なぜか。空調の冷媒ガスをこの自然冷媒ガスに交換すると、電力消費量が3割から5割下がるからである。空調の電気料金が半分近くになるとしたならば、今の電気料金高騰による物価高も国民負担も数兆円規模で改善されることになる。空調の電気料金が半分近くになり、クーラーの寿命が延びるとしたならば、経営も家計も財政もどれほどの負担が軽くなることか。
しかし、LED化よりもはるかに大きなこの省エネ効果についても、原子力再稼働をシナリオとする政府のエネルギー基本計画には触れられていない。また、ここには空調業界の利権も絡んでおり、現在の代替フロンガスには数千億円分の契約在庫があり、これを使い切るまではどんなに優れた新製品も採用させないという、これまた業界の利権行動があるのである。
空調工業会は「自然冷媒ガスは火が出る」とかデマを平気で流し、このガスに替えるならばメーカー保証はしないとか、なんとしても自分たちの在庫と利益を守ろうと躍起になっている。海外では採用され普及している最新技術を封じ込め、普及を妨害している業界とそれを黙認する経産省。電気料金に苦しむ国民にとっても産業界にとってもこれは犯罪行為そのものだと考える。
「なぜこんな情報が我々に伝えられないのか」。みなさん、大きな声を上げていただきたい。(次回は、4月21日配信予定)