東風西風(2025年11月12日)
環境新聞は11月5日に創刊60周年を迎えた。創刊した1965年は政府が新潟水俣病を公式認定した年で、海外では米軍によるベトナム爆撃が始まった。公害問題だけでなく廃棄物や下水道などの生活衛生問題も一括して取り上げた方がよいと創業者は考え、「環衛新聞」と名付けた▼「公害国会」が召集され、公害関連14法が成立したのは5年後の70年。翌年に環境庁が発足した。これを機に「環境公害新聞」に改題、社名も変更した。78年には生活排水対策の要となる下水道の専門誌として「月刊下水道」を発刊した▼高齢化社会の到来が叫ばれ始める中、高齢者施設やヘルパーの専門紙として87年に「シルバー新報」を立ち上げた。90年代に入ると地球規模の環境問題への関心が高まる。92年の地球サミットをきっかけに、翌年、地球環境時代にふさわしい新聞を目指して現在の「環境新聞」に改めた▼人でいえば「還暦」にあたる60年は新たな始まりを祝う節目の年。気候変動の影響が顕在化し生物多様性の喪失も甚だしく、世界各地で起こる紛争や貧富の差の拡大なども相まって将来への不安は募るばかり。だからこそ持続可能な未来を作る意思と行動が求められる。本紙はそれを支える報道機関として気持ちを新たに取り組んでいきたい。(宜)