2023年我が社の環境ビジネス戦略 月島機械 代表取締役専務執行役員 水環境事業本部長 鷹取 啓太 氏

――初めに、今期の水環境事業の状況や当面の課題などは。

今期の受注高は、前期に複数の大型案件を受注した反動で減少の計画としたが、引き続き高水準となる見込みである。売上高も受注済み案件の進捗により増収の計画である。営業利益については、ボリューム優先で案件を受注したことや資材価格、労務費の高騰の影響もあり、前期に比べ減益の見込みだ。

現在、お客様と契約のエスカレーション条項に基づいて値上げ交渉を行っており、不可抗力として費用の回収を目指している。

また、トピックとして、グループ子会社の月島テクノメンテサービスが、埼玉を中心に維持管理を行っている会社である武蔵野環境整備の全株式を取得した。県内の下水道施設を中心に豊富な業務経験を持つ同社を迎え入れることで、運転管理事業を拡大していく。

――今期の受注案件については。

主な案件では、東京都の「八王子水再生センター汚泥焼却設備再構築工事」と「町田市鶴見川クリーンセンター汚泥焼却設備工事その4」を受注したことが大きい。いずれも、省エネルギー性能に優れた次世代型下水汚泥焼却システムの「過給式流動燃焼システム」を採用するものである。

また、トピック的な案件として、熊本県の「山鹿市山鹿浄水センター汚泥処理設備工事その2」を受注した。これに採用される円環式乾燥機は国土交通省の16年度B‐DASHプロジェクトに採択されたもので、乾燥汚泥の含水率を燃料や肥料といった利用用途に応じ調整できる点が大きな特徴だ。特に肥料については、国土交通省や関係機関などが連携して、下水道資源の利用拡大による肥料の国産化・安定供給を推進しているところであり、当社にとってもビジネスチャンスになるのではないかと考えている。

――中期経営計画における水環境事業の主な進捗状況は。

「経営基盤の強化」と「成長戦略の推進」を基本方針とした中期経営計画(19~21年度)に取り組んできたが、23年4月に持株会社体制に移行する関係で、中期経営計画を1年延長した。

「経営基盤の強化」では、事業拡大とグループ経営の効率化を図るため、持株会社制に移行するとともに、23年10月にJFEエンジニアリングの国内水エンジニアリング事業と統合することで、強固な事業基盤を構築していく。

一方、「成長戦略の推進」では、その一環として、先ほど紹介した「過給式流動燃焼システム」に注力しており、受注実績は中計の4年間で6件、累計で16件に上っている。また、この過給式流動燃焼システムをベースとした「創エネルギー型脱水焼却システム」を21年夏に上市している。消費する以上の電力を発電できるため、温室効果ガスの排出量を従来炉に比べ約90%削減できる点が大きな特徴である。さらに、民設民営方式の消化ガス発電事業にも注力しており、受注件数は中計4年間で8件、累計で24件に上っている。

――最後に、持株会社体制への移行や事業統合など来期に向けた抱負・展望を。

当社を取り巻く事業環境は急速かつグローバルに変化している。また、プライム市場への移行に伴い、コーポレートガバナンスもより一層強化する必要がある。そうした中、当社グループの持続的な成長を目指すためには、持株会社体制に移行することが最適と判断した。商号は「月島ホールディングス」とし、グループ戦略と経営管理に集中する。事業会社は業務執行の権限を委譲することで、意思決定の迅速化を図る。月島機械の水環境事業は準備会社が継承し、23年4月から「月島アクアソリューション」に商号を変更する。

また、JFEエンジニアリングとの事業統合により、「月島JFEアクアソリューション」が23年10月に発足する予定だ。そのシナジー効果として、両社の技術・サービス・リソースを融合し、今後増加が予想されるPFIやDBOといった事業案件や大型案件への対応力を強化することが期待される。それにより、国内の上下水道事業におけるリーディングカンパニーを目指していきたい。

また、新会社では、特に若い世代が夢と希望を持って働ける会社にしたいと考えている。昨今、バーチャルなものがもてはやされているが、当社の仕事はモノをつくり出してそれが長く残る。汚れた水がキレイになってリアルに目の前に出てくる。技術者の仕事は素晴らしいという実感を得られるような働き甲斐のある会社にしていきたい。

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鷹取啓太氏