東京都と積水化学 次世代太陽電池の実証開始

東京都は、日本発で次世代太陽電池の本命とされるペロブスカイト太陽電池の実用化に向けて、国内最大規模の実証実験を開始した。森ヶ崎水再生センター(東京都大田区)の水処理施設の一部に同太陽電池を設置し、開発企業の積水化学工業と共同で、発電効率の測定や耐腐食性能などを検証する。

ペロブスカイト太陽電池は、薄くて軽く柔軟性がある点が特長。従来のシリコン太陽電池と比べると、厚さは約20分の1の1ミリ、重さは約10分の1の1・5キロ程度。ビルの壁面や耐荷重の小さい屋根など、さまざまな場所に設置できる。主な原料に、日本が世界産出量の約3割を占めるヨウ素を利用しているのも利点とされる。積水化学は、2025年の事業化を目指し、研究開発や実証実験などを進めている。

都と積水化学は22年末、ペロブスカイト太陽電池を活用した共同研究に関する協定を締結。このほど共同研究に使用する電池の設置が完了した。設置場所の森ケ崎水再生センターはメガワット級のシリコン太陽電池や消化ガス発電など、さまざまな再生可能エネルギーを利用し、センターで使用する電力量の約2割を賄っている。

実証実験では、フィルム状のペロブスカイト太陽電池を水処理施設の反応槽覆蓋上部に、大きさの異なる3種類をそれぞれ3枚設置。合わせて9平方メートルの面積で、約1キロワットの発電容量がある。

24日に同センターで開かれた実証実験の開始式で小池百合子知事は、「この技術が有効な日本のエネルギー源として活躍することを期待している。持続可能な成長を遂げる東京、そして日本につなげていきたい」と期待を込めた。

東京都と積水化学 次世代太陽電池の実証開始_開始式でペロブスカイト太陽電池への期待について話す小池知事(左)
開始式でペロブスカイト太陽電池への期待について話す小池知事(左)