街路樹ものがたり(54) 一般社団法人 街路樹を守る会 代表(共立女子大学他 非常勤講師) 愛みち子 同時多発的公園破壊! どうする東京都?
2016年に街路樹保護の活動を始めた時、「樹木を守る」活動はまだ珍しいことでしたが、今日、「木を伐らないで!」という声があちこちから聞こえます。仲間が増えて嬉しいですが、伐採事件の多発と増加を示しています。
23年8月原稿執筆時点で、ネット署名の「チェンジオルグ」で「伐採反対」を訴える署名運動は、なんと102件もあります。
ほぼ全国に分布し、都市部は開発によって伐られる街路樹や公園木が、山間部はソーラーパネル設置等大規模自然破壊が多く、海外のケースも挙がっています。
この同時多発的な各地の樹木伐採問題は、原因はさまざまですが、共通する所があります。直前あるいは最後まで一般住民に知らされないこと。やっと知った住民が反対しても「すでに議論/検討/手続きを経て決まった」などと対応されること。環境への配慮がほとんどないこと。目的は大抵商業的な利益追求であること。
そして背景に、樹木を守る法律がないことが大きいのです。しかも、ポリシーメイカーから条例を作る動きがみられません。
これは日本の犬猫を巡る状況に似ています。環境省の統計によれば、日本では1970年代、年間1200万匹以上殺処分していました。以前はもっと多いかもしれません。徐々に減少したのは政府の努力ではなく、各地のボランティア、多くは主婦等が善意とへそくりで対処、改善したからです。
大量樹木伐採状況下、国も対処せず、自治体の判断に委ねるというなら、注目されるのは日本最大の地方自治体、造園職を200人抱える東京都庁の姿勢です。
都は神宮外苑では許認可を出す立場ですが、都立日比谷公園と葛西臨海公園では持ち主で工事を実施する主体です。
日比谷公園再生整備計画について、都はホームページに出しただけで都民に十分告知せず、来月9月に工事開始、第2花壇、噴水と壊す計画です。8月頭に3日間のみ園内にテントを張りパネル展示しました。来訪者は100人以下でした。
よもやこのまま都民の声を聞かず、大手資本(三井不動産他)の計画に委ねるようなことはしないでいただきたい。現在、公園正面入り口に三井などのロゴ入り大型看板が立ち、経緯や関係者の不明瞭な飲食イベントが頻繁に開催。もはや都立公園、歴史的公園の姿が壊され始めています。
東京のヒートアイランド現象は世界でも最も酷い水準で、対策もありません。皆が今ある樹木を必要としていること、日比谷公園が特別な場所であること、樹木伐採は動物殺傷と同じであることを無視しないでいただきたい!