東風西風(2026年3月25日)
彼岸参りで痛感した。区画にきっちりと並んでいたお墓がまばらになり、養生シートで覆われた墓地が増えた。墓参者の多くは高齢で、子供連れはほとんど見かけない。先祖を代々供養し、墓を建てて子孫に継承する慣習は完全に消えつつある▼少子高齢化が進む中、無理もない。墓ニーズは大きく変化し「子や孫の負担にならない」「経済的」が大勢を占める。永代供養付きの合葬墓や街中の屋内型納骨堂、墓石の代わりに木や花をシンボルとする自然葬などが今の潮流だ▼神戸市は政令市初の市営「樹林葬墓地」を整備し、16日から募集を開始した。場所は同市北区鵯越(ひよどりごえ)墓園の一角にある森林公園内。先日現地を取材したが、風が葉を揺らし、太陽の光がやわらかく注ぐ実に心地の良い樹林であった▼イノシシに荒らされたり大雨で流れたりしないよう、直径15センチメートルの塩ビパイプを50センチメートルの深さまで押し込み、土と混ぜた骨を納め、パイプは後に抜き取る。1200平方メートルの墓域に1年あたり80体を20年間募集し、1600体を埋蔵する計画。募集期間終了後も30年間は管理し、50年経過後は自然山林となる予定で、「土に還る」ストーリーができている。募集開始から数日で定数を超える大人気とのこと。当然だろう。(孝)