東風西風(2026年6月3日)
JAXAの宇宙探査機「はやぶさ2」が小惑星リュウグウから持ち帰った試料に分子量3千を超える比較的大きな有機物が見付かった。生命はさまざまな有機物で構成されており、東京大学らの研究チームは生命の起源に迫る成果と強調する。リュウグウからはこれまでにも生命の遺伝情報を伝えるRNAの基になるウラシルや、アミノ酸などの有機物も見出された。天体上から厳重に保管・輸送された試料。地球に由来せずに、それらが宇宙に大量に存在すると改めて明かされた▼宇宙を経て地上に生命の「素」がもたらされ、地球を生命の星にしたという「パンスペルミア仮説」を裏付けた。過去にも日本の研究チームが実施した「たんぽぽ計画」で、宇宙空間をただよう宇宙塵に棲む微生物を捉えた。それらが宇宙空間で生き残る条件を調べ仮説を補強した。地球の成層圏には宇宙環境に耐えられる微生物もいるという。地球と宇宙を隔てる壁は、実は薄く、柔らかいのかも知れない▼いま米国や中国を軸に人は再び宇宙を目指す。かつて世界の文明を一つなぎにした大航海時代のように、今度は宇宙で各国がしのぎを削る。生命の起源が宇宙にあり、そこに命が溢れているなら、人類の新たな冒険は生命をつなぐ旅になるのかも知れない。(潤)