東風西風(2026年6月10日)
高市政権のもと憲法改正の議論が加速しているが、NPO法人の環境文明21は20年以上前から、憲法改正を訴えてきた。環境問題が私たちの生存基盤そのものを揺るがす脅威となる中、環境の恵みを享受する権利と併せ、環境を保全し次世代に継承する責務を最高法規に明記すべきというのが主な主張だ(6月10日更新記事参照)▼国際社会では環境へのアクセスを普遍的人権と認める流れにあるが、国連加盟国のうち、憲法や法律に環境権の規定がなく、関連の国際条約にも加盟していない国は、日本を含めて11カ国に過ぎない。日本は環境を守るための公益訴訟制度さえ持たない。そのため、司法の場でも政府の対策不備を「人権侵害」と問うことが難しく、裁判所が命を守る砦として機能しにくい構造にある▼この現状を打破するため、環境文明21が主張するように「環境原則」を憲法に加えるべきではないか。「予防原則」に基づき、将来世代へ豊かな環境を継承する責務を国に課す、国家の最高意思としての明確な宣言となるものだ▼憲法が作られた80年前には想定外の危機に直面する今、憲法論議を「9条の問題」だけにしてはならない。この国がどのような未来を選択し、持続可能性をいかに担保するか。国会だけでなく広範な議論が必要だ。(宜)