東風西風(2026年9月2日)
環境政策のテーマは「複数」なる声に耳を傾けることだ。石原宏高環境相は昨年、着任早々に多くの環境政策が日本の安全保障の〝諸〟課題と直結していると喝破した。環境省のプロパティはもはや環境それのみに自存していないし、国内外の情勢を受け、甘んじて自存してもらっても困るということだろう。今年8月に就任した秦康之環境事務次官も、資源循環・脱炭素・自然再興の3領域を統合する〝複数〟なる政策の重要性を重ねた。関谷毅史地球環境審議官は途上国と先進国の相違を受け入れ対話していく決意を強調。国際社会、同省と他省庁、地方と中央、被災地や一般の生活者、人と動物――生きとし生けるもの全て。その背後にある政策の大義や共感、災いと困難、不安、苦しみ、生きることの喜びといったおよそ単一の尺度で測れない数多の声に耳を傾け、施策を進めなければならない同省だ。いまそのコア・ミッションは「時代の要請への対応」と「不変の原点の追求」だが環境政策が複数的であることは原点であり要請でもある▼声は響かせるものだと同時に聞き取るものだ。他者へと耳を傾けない者の声は、結局誰の耳にも届くことはなくなる。一面で困難な、複数的で多声的(ポリフォニック)な解決策こそが人を前へ進め得る。(潤)