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2023年我が社の環境ビジネス戦略 東亜グラウト工業 代表取締役社長 山口 乃理夫 氏

――2022年に振り返って。

当社はここ数年、コロナ禍においても必要な事業基盤強化策(設備投資・人財投資)に関しては積極的に講じてきた。22年はこれら打ち手の成果発現に加え、一気に成長へギアチェンジするという方針を打ち立て、進めてきた。原材料高騰等負の要因もあるが、我々が主業とするインフラメンテナンス、防災関連は国土強靱化の予算がしっかりとついており、決して地合いそのものは悪くないとの認識にたち、前年並みの売上・利益の目標をたてたが、ロシアウクライナ侵攻や想定以上の円安の進展など、取り巻く環境は想定以上に悪化、売上は前年並みも利益的には若干苦戦している状況だ。

――近年、事業提携などを積極的に進めているが、その効果は。

19年に事業提携したアークジョインは、北海道で橋梁などコンクリート構造物のメンテナンス事業を主軸としているが、斜面防災の施工や地盤改良事業を受注するなど、シナジーが生まれている。また、ここ2年間は当社が同社の下請けとして北海道で橋梁メンテナンス工事を数カ所請け負い、施工ノウハウの蓄積に努めており、将来本州で本格的に橋梁メンテナンス工事に取り組む布石になると考えている。

20年に事業提携したトキワ設備(福岡市)は水道管工事を主軸としており、現在、アイスピグ洗浄工法の折込・受注活動を進めている。この工法は、圧送管内に付着・堆積した汚れを特殊アイスシャーベットで除去するもの。当初は下水から始めたが、近年は水道の需要が多く全体の7~8割を占めるようになった。人体に無害で環境にやさしい点が支持されており、今後も水道分野での普及拡大が見込める。

――水道行政が厚生労働省から国土交通省と環境省へ移管されることが決まったが、それへの期待、ビジネスへの影響などについては。

全体最適で水循環をとらえる体制ができると期待している。環境省の浄化槽整備との連携も強化し、最適な水循環システムの構築をお願いしたい。

これから日本においては人口減少が進み、その分税収も漸減する。水循環システムも全体最適をとことん追求する必要がある。汚水処理施設は人口に見合った数に削減していかなければならないし、老朽化対策も脱炭素化も個々の自治体や処理場で部分最適を追求していくよりも、全体のグランドデザインの中で進めていく方が効果的だ。 

――強い企業であり続ける条件に、「パーパス(志)経営」をあげているが。

当社のパーパスは「地方創生、地域再生の一翼を担う『まちのお医者さん』」になること。社内外でこの話をさせていただいているが、この理念に共感してくれた同業他社や異業種の方から、一緒に仕事をしたいとアプローチがある。今後もこのパーパスの実現に向け経営にあたっていきたい。

その第1ステップとして、インフラに関するあらゆる悩みに解決策を提案できる「インフラメンテナンスの綜合ソリューション企業」を目指している。管路メンテナンス事業でいえば、当社は洗浄、更生の技術に強みがあるが、調査・診断技術は武器が少ない。海外では、人工衛星を使って漏水を検知するなどさまざまな技術が実用化されており、そうした技術を導入することで、調査・診断から洗浄・管更生材料選定・更生工事・維持管理までを総合的にサポートできる体制づくりを進めたい。

――斜面防災事業については。

予防保全に対処する商材の開発と調査・診断手法の確立に取り組む。世界には、人工衛星を使って山の保水率などを定点観測して危険箇所を特定する技術などがある。こうした技術に可能性を感じている。

また、当社は土石流のような大きな災害に対応する技術・製品に強みがあるが、昨年新しく道路や鉄道の脇の小規模な落石・土砂対策向けの商材を上市した。すでに導入実績もでき、大きな需要も見込めることから、今年は売上拡大に向け拍車をかけたい。

――脱炭素化への取り組みについては。

現在管更生に使う材料はプラスチック系なので、脱炭素、資源循環の点から今後より強い品質改善が求められると予測している。材料そのものだけではなく、製造工程、施工工程に関しても、できるだけCO2を排出しない工夫が必要になってくる。これらの改善をいかにコストアップしない形でクリアするかが今後の開発、ひいてはビジネスの鍵になると思う。

――今年の抱負を。

日本経済は内需が牽引し回復に向かっていくと見ている。国土強靱化の予算も潤沢だ。原材料高騰や円安も一服すると予測している。地合いは決して悪くない。我々は冒頭に話したようにコロナ禍においても必要な事業基盤強化策、成長への投資をしっかり行ってきた。今年はそれらをしっかり成果につなげる年。あわせてインフラメンテナンスの綜合ソリューション企業を目指す上で足りないパーツを、今年もしっかり埋めていく成長への仕掛けを継続していく。

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山口乃理夫氏