3年ぶりに一廃行政担当者が一堂に会す 全国都市清掃会議秋季評議員会、今月27日郡山市で開催
市町村の一般廃棄物行政担当者が一堂に会し、今後の廃棄物行政の方向性などを議論する「全国都市清掃会議秋季評議員会」が27日、福島県郡山市の郡山ビューホテルアネックスで開催される。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、昨年、一昨年は開催を見送っており、通常形式での開催は3年ぶりとなる。会員相互の意見交換、情報交換の場として開かれる秋季評議員会の後には、臨時総会の開催も予定されている。今年も依然として循環型社会形成推進交付金の安定確保が重要テーマとなるほか、4月に施行されたプラスチック資源循環促進法への対応など自治体の廃棄物行政が取り組むべき課題は多く、貴重な意見交換の場となりそうだ。また、翌日の施設見学会では「富久山クリーンセンター」の見学が行われる。
循環型社会形成推進交付金については、ここ数年当初予算と補正予算を合わせて1千憶円規模の予算を確保しているが、依然ごみ焼却施設などの廃棄物処理施設建設のピークは迎えておらず、今後もこうした状況が続くと見られている。全都清としても引き続き財源確保に向けた要望活動に注力していく方針だ。一方、今年4月のプラスチック資源循環促進法施行を受け、容器包装プラスチックと製品プラスチックの一括回収がいよいよ来年度から本格的にスタートする見込みとなっており、各自治体でも準備を進めているところだ。
喫緊の課題としては、多発するリチウムイオン電池による火災への対応がある。全国の自治体施設等での発火案件は数千件に上るとみられており、製品を製造するメーカーとも一体となって対策を進めることが必要となっている。8月に国の「廃棄物・資源循環分野における2050年温室効果ガス排出実質ゼロに向けた中長期シナリオ(案)」が示されるなど、脱炭素への対応も大きな課題となっている。秋季評議員会では、こうした諸課題に対する意見交換が行われる見込みだ。
秋季評議員会の翌日に施設見学が行われる富久山クリーンセンターは、高効率のごみ焼却自動システムを取り入れた日量300㌧の焼却処理施設(全連続焼却式ストーカ型焼却プラント)と80㌧の不燃粗大ごみ処理施設を機能的に配置した設備を有しており、特に周辺地域の環境保全と公害防止には最新の技術を導入し、万全を期している。また、廃棄物の中から積極的に資源を回収し、再生、再利用を図るとともに、ここで発生した熱は自家発電による売電や余熱の供給を行うなど、熱エネルギーの有効利用を図っている。
また、ごみ処理施設のほか、ビン・容器包装プラスチック・ペットボトルの資源物を処理するリサイクルプラザと、し尿処理を行う衛生処理センターで構成されている。リサイクルプラザは、2000年度に旧富久山清掃センター敷地内に設置され、びんの形状記憶や色識別など、精度の高い自動識別機を設置するとともに、ペットボトルとプラスチック製容器包装については不適物の選別ラインを設け、圧縮梱包機械で一定の成形品にし、それらを一定量保管する施設も備えている。また、隣接するごみ焼却施設で発電した電力を使用するとともに、給湯も余熱を再利用するなど省資源・省エネルギーの面や、騒音・振動・粉じんの防止など環境保全対策にも十分配慮したリサイクル施設となっている。衛生処理センターでは、市内全域のし尿および浄化槽汚泥を処理している。


