鹿児島銀 「脱炭素地域」へ融資強化 計画策定や事業サポート 

ニッキン

【ニッキンオンライン 2024年3月13日配信】

鹿児島銀行は、環境省の「脱炭素先行地域」に選定された自治体の事業への融資を強化している。交付金を受けて行われる同事業の資金計画策定などをサポートし、事業資金の不足分を供給する新たな融資モデルだ。

第1弾として、宮崎県延岡市と沖縄県島尻郡与那原町の2地域(借入人は事業会社)へ合計37億円の融資枠(コミットメントライン)を設定、3月1日に契約を締結した。延岡市分については、シンジケートローンを組成し延岡信用金庫が参加した。

脱炭素先行地域は、電力消費に伴う二酸化炭素排出の実質ゼロを目指す自治体がその手法(事業)を提案し、先駆的な好事例になると評価されれば選ばれる。事業費の7割程度、最大50億円の交付金を受けられる。

2地域とも、自治体新電力を手がけるみやまパワーHD(福岡県みやま市)と組んで事業会社を設立。地域内の住民住宅や公共施設の屋上に太陽光パネルなどを無償で設置し、エネルギーの地産地消と売電を行う事業計画で選定を受けた。ただ、スキームが複雑で、電力の需給バランスを安定させる必要があり事業の成長スピードの見極めが難しいことから、資金計画を立てられずに困っていた。

相談を受けた同行は、太陽光発電設備の設置状況に応じて随時必要な額だけを融資するローンを設計。電力の小売り先が増えるたびに設置量を機動的に増やせるようにした。また、当初5年間で設置(融資)を終え、2043年までに返済を終える資金計画も策定。3カ月ごとに事業の進捗状況を報告してもらい同行がモニタリングを続けることで事業継続性を高める手法も取り入れた。

現在は、鹿児島県日置市でも同様の事業支援の準備を進めており、他地域での融資も視野に入れている。

九州フィナンシャルグループは21年度からの10年間で、環境分野への投融資を2000億円とする成果目標(KPI)を打ち出している。傘下の肥後銀行と鹿児島銀行で半分ずつ担うとすると単純計算で1行当たり1000億円、これを1年に直すと100億円が年間目標となる。鹿児島銀では同スキームを活用した融資の拡大などで目標達成を目指す。