X線画像認識する異物検知機でLiB検知 ―リチウムバスターX、リチウムバスターX Pro  物井工機 企画部

リチウムバスターX

「リチウムバスターX」は既設のコンベヤに設置が可能なX線異物検知機である。

本体上部に内蔵されたX線発生装置から、コンベヤの搬送面下に設置したX線ラインセンサカメラへ向かってX線を照射する。コンベヤ上のワークはX線を遮る形となり、ワークの密度(X線の透過度)によって、センサカメラへ届くX線量に差が生まれる。結果、カメラに撮影される画像はワークによって陰影の濃淡が異なるものとなる。

本機はこのX線画像を解析し、陰影の濃淡の濃く暗い部分を密度の高い異物と判定する。これによりメインの搬送物よりも密度が高い金属や電池などの異物検知が可能となる。LiBの検知に特化した装置ではないが、LiBは容リプラよりも大幅に密度が高いため異物としての検知される。検知の仕組みとしては、空港の手荷物検査機を想像されたい。

一口にプラスチック製容器包装といっても、自治体や処理施設によってワークの組成は異なる。本装置はこの差異に対応するため、X線の照射強度、検知の閾値(検知の対象とする対象物の寸法、太さ、陰影の濃さ)を設定可能である。

リチウムバスターXの特長

リチウムバスターの最大の特長は、既設のコンベヤに後付けでコンパクトに設置が可能なことだ。

新規装置の導入にはさまざまなハードルがある。特に既設ラインへの導入となると、ライン全体を新設する場合と違い、自由度は格段に下がってしまう。

「改修中のダウンタイムを極力減らしたい」「新しい装置を入れたいがスペースが無い」「動線やオペレーションはなるべく変えたくない」という要望に応えられる形を追究した結果が、この「既設のコンベヤに後付けできる省スペースな装置」であった。

本装置は600mmのスリムな本体を既設コンベヤに設置するだけで使用できるので、導入に際して新規の付帯設備や搬送経路を追加する必要がない。これにより、改修工数が少ないため、導入時の工期が短くなりダウンタイムを削減できる。また、導入前後で既設機器の配置変更が少ないので動線やオペレーションの変更も低減できる。導入のハードルが低いことがリチウムバスターの他にない優位点である。

リチウムバスターX Pro

リチウムバスターXの判定条件は、X線画像の陰影の濃さ(暗さ)と寸法(面積)であるが、Proはこれに電池の形状を認識するロジックを追加し、電池と同等の密度を持つ対象物、具体的には一般不燃ごみからのLiBの検知を目的としている。

不燃ごみという収集区分の性質上、自治体や処理施設によってワークの組成が大きく異なること、電池以上の密度を持ったものも含まれることから開発のハードルは高いが、検知の精度は順調に高まっている。