開催に寄せて にぎやかで活気あふれる大阪を支える下水道の未来~下水道展に寄せる期待~ 大阪市長 横山 英幸

大阪では、4月に大阪・関西万博が開幕し、国内外からのたくさんの方々で万博会場をはじめまちは大変な賑わいとなっています。そうした中、万博会場にほど近い大阪南港のインテックス大阪にて「下水道展'25大阪」が開催されます。開催にあたり、開催地を代表いたしましてお祝い申し上げますとともに、この間の関係者の皆様のご尽力に深く敬意を表します。

大阪市では、大阪・関西万博の成功、SDGsの達成、さらには日本の成長をけん引する東西二極の1極として、世界に存在感を発揮する「副首都・大阪」を目指すことを掲げ、国際都市大阪にふさわしい新たな賑わいを創りだし、活力を高めていくため「大阪都市魅力創造戦略2025」のもと、まちづくりなどに取り組んできました。

「グラングリーン大阪」の先行まちびらきをはじめとする大阪駅周辺の施設の開業や、市立美術館などの文化施設のリニューアルオープン、難波宮跡公園と商業施設「なノにわ」の開業など、集客施設が次々とオープンし、コロナ禍の影響を受けた産業分野もインバウンド需要の増加などにより回復しつつあります。

さらに、万博閉幕以後の持続的な成長のため、本市では「Beyond EXPO 2025」を策定し、さらなる産業分野・市場への投資など戦略的な取り組みを進めていくこととしており、下水道分野では、大阪のヒガシの拠点として開発を進めている「大阪城東部地区」において、まちづくりの中で産学民と連携して、カーボンニュートラルの実現に向けた資源・エネルギー循環拠点となる次世代の都市型下水処理場へと再構築を行い、エリアの付加価値向上につなげていくこととしています。

大阪市では、こうした取り組みを進めることで、一人ひとりが多様な幸せを実感でき、誰もが安心していつまでも住み続けたいと思う「にぎやかで活気あふれるまち大阪」の実現を目指してまいります。

下水道は、まちとそこで生活する人々にとって必要不可欠な、最も重要な都市インフラの一つであり、雨水の排除による浸水の防除、汚水の排除・処理による公衆衛生の確保と公共用水域の水質保全、さらには資源・エネルギーの利活用による循環型社会への貢献など、さまざまな役割を担っています。

大阪市の下水道は、遡れば、1583年の大坂城築城に伴う街づくりの際に作られた太閤下水が起源になります。碁盤の目状に道路が整備されたのに併せて造られた背割下水が大阪市の下水道事業の元々の骨格となり、この先人の遺産を巧みに活用し、江戸末期の開国後からのコレラ対策に端を発し、1894(明治27)年に近代下水道事業に着手しました。その後も1940年には津守・海老江両下水処理場で汚水処理を開始するなど、先駆的に下水道整備を行ってきており、昭和50年代に下水道普及率はほぼ100%となりました。また、技術開発にも積極的に取り組んできており、省スペースで確実な処理ができる高速ろ過技術や、効率的に雨天時下水を処理する雨天時下水活性汚泥処理法、いわゆる3W処理法など、独自に確立したものも少なくありません。さらには、大阪の弱点とも言える低地、湿地という地勢的課題の克服に向けて浸水対策にも先駆的に取り組んできたことも大阪市の特徴であり強みであります。

今後も、施設の老朽化への対応や、近年多発する集中豪雨や気候変動に伴う将来の降雨量増加に対応するための浸水対策、令和6年能登半島地震の教訓を踏まえた上下水一体となった地震対策、2050年カーボンニュートラルへの対応などさらなる投資を行っていく必要があります。一方で、物価高騰による資材価格やエネルギー価格の上昇、将来的な人口減少による下水道使用料の減少など、下水道事業の経営環境は厳しさを増しています。

これらの課題に適切に対応し、質の高い下水道サービスを将来に渡って安定的に提供していくため、「未来への責務を果たす下水道」をビジョンに掲げた、中長期的な経営の基本計画となる「大阪市下水道事業経営戦略」を今年3月に改定し、下水道事業を推進してまいります。

また、本市では維持管理部門を株式会社化した「クリアウォーターOSAKA株式会社」を2016年に設立し、22年度から20年間の包括委託を実施することで、経営の効率化を図ってきており、25年度からは、現行の包括委託に更新計画作成業務を盛り込むことで「更新支援型」ウォーターPPPに移行し、維持管理と更新の一体マネジメントによるさらなる業務の効率化・高度化を目指してまいります。

今年の下水道展は、未来を体験できる大阪・関西万博の開催期間中に大阪で実施されるという特別な機会となります。万博のテーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」ともつながる革新的で最先端の下水道技術が一堂に会するこの場で、未来社会を形作る素晴らしいアイデアを体感し、わくわくするひとときをお過ごしいただければと思います。また、これまで以上に世界の方々の来場が見込まれることから、下水道展を通して新たな交流の場となり、下水道業界を超えて、カーボンニュートラルの実現やSDGsの達成につながっていくことを期待しております。

開催に寄せて にぎやかで活気あふれる大阪を支える下水道の未来~下水道展に寄せる期待~ 大阪市長 横山 英幸_大阪市長 横山 英幸
大阪市長 横山 英幸