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心理学×環境~臨床の現場より~(40) 公認心理師、臨床心理士 松尾祥子 ホルムズ海峡の匂いの記憶

一方で、戦争を対岸の火事として捉える人々も多くいます。石油や経済への影響についての懸念はあるものの、苦しみや緊迫感を強く感じているわけではありません。このように苦しみや感情を分かち合えない状況は、孤立感や断絶感を強めます。政治に対する思想の違いから、夫婦関係や家族関係、友人関係が悪化するケースも増えているといわれています。

ところで、世界一周の船上で気づいたことがありました。それは、海はつながっていても、海上の匂いは異なるのです。水温や季節、海藻やプランクトン、そして海洋汚染や陸で営まれる日々の生活などが海の匂いに影響を与えていますが、匂いは暮らす人々には気づかぬほど日常になります。私たちは普段意識しませんが、環境から影響を受け、環境へ影響を与え生きています。いま、ホルムズ海峡の匂いを思い出そうとすると、灼熱の太陽と高揚感、そして日々の生活では忘れていた、この地の重要性に対する粛然とした想いが蘇ります。

心理学×環境~臨床の現場より~(40) 公認心理師、臨床心理士 松尾祥子 ホルムズ海峡の匂いの記憶_公認心理士、臨床心理士 松尾 祥子
公認心理士、臨床心理士 松尾 祥子=クリックで拡大=
心理学×環境~臨床の現場より~(40) 公認心理師、臨床心理士 松尾祥子 ホルムズ海峡の匂いの記憶_船上で掲示されていた航路図。ホルムズ海峡を通過し、ドバイとカタールへ寄港した(2015年筆者撮影)
船上で掲示されていた航路図。ホルムズ海峡を通過し、ドバイとカタールへ寄港した(2015年筆者撮影)=クリックで拡大=

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