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データセンター、生成AIの登場で電力消費量が増大傾向 国内施設もサステナブルな変革が必要  シュナイダーエレクトリック

フランス電気大手メーカーのシュナイダーエレクトリックは1130日、東京オフィスで「データセンター市場における電力グリーン化とサステナブルなデータセンターの動向」に関する説明会を行った。

今井歩セキュアパワー事業部バイスプレジデントは、データセンター事業の国内外の動向や同社が提唱するサステナブルなデータセンターについて説明し、ITインフラにおける長期的なエネルギーへの影響や日本のIT関連の電力消費量の予測、生成AIの活用で起こる電力消費の増大、海外で進むデータセンター業界での規制などについて解説した。

サステナブルなデータセンターについて説明する、
今井歩セキュアパワー事業部バイスプレジデント
(写真提供:VAインターナショナル)

具体的には、全世界のデータセンター関連のエネルギー消費量は2040年に約6倍以上に拡大すると説明。このまま削減へのアクションが進まない場合、国内のIT関連の消費電力は50年には日本全体の電力消費量を上回ると予測した。加えて、今後5年間でAIに関連するワークロードによって電力消費は増大し、現状の4.3ギガワットの消費を続けると28年には13.5~20ギガワットに到達し、データセンター全体の消費電力に占める割合は現状の8%から大幅に増加して、28年には15~20%に達すると解説した。

また、各国で進むさまざまな変革に比べ「日本の改正省エネ法による規制は欧米に比べると緩やかだ」と強調し、国内データセンターの対策の遅れに警鐘を鳴らした。

同社は今後、グローバルに400名以上いる専門家による戦略策定、デザイン・設計の実装、オペレーションの効率化から脱炭素までの包括的なサポートなどサステナブルな次世代型データセンターの構築で培った知見で、持続可能なデータセンターを目指すうえで重要な、再生可能エネルギー使用量の指標「REF」やサーバーなどIT機器の消費電力量の指標「PUE」などの改善に向けたソリューションの提案を進めていく。

また、データセンターの持続可能性を測るうえで鍵となる5つの領域(エネルギー、温室効果ガス、水、廃棄物、生物多様性)を細分化し、23の測定指標を提唱する最新トレンドを反映した「ホワイトペーパー67」の第2版(216月発刊)を活用した啓発活動などで、 業界全体での標準化や各種の取り組みへの積極的な参画を図っていく。

説明会ではその他、データセンターのグリーン電力調達や、省エネの鍵を握るファシリティ面のソリューションについて、海外動向や事例を交えて各担当者より紹介した。 

 データセンター事業は4月より資源エネルギー庁が推進する省エネ法の対象となり、一定規模以上の事業者に対して具体的な目標値を掲げ、報告書の提出を義務化するベンチマーク制度が設けられた。しかし、生成AI登場による高密度化や加速度的な電力消費増加により、技術活用と省エネの両立は困難な局面を迎えている。