2025年 我が社の環境ビジネス戦略 関西オートメイション 代表取締役 宮坂 典央 氏 営業体制を強化し、きめ細かな新提案を着実に
コラボレーションで切り開く新市場にも期待
――2024年の全体ビジネスは。
全体的に劇的な変化はなく、新規もリピートも緩やかに伸びている。VEGA社(ドイツ)の製品については、日本総代理店としてホームページや展示会など各所でブランドを前面に出したPR活動を行っている。レーダー式レベル計としての商品力の高さが認められ、リピート、新規ともに好調だ。従来品からの置き換わりになる場合もあるので、VEGAの売り上げがそのまま上積みになるわけではないが、着実に伸びている。レーダー式は非接触計測できるのが大きな特長で、それゆえメンテナンスの必要がほとんどない。世界有数のブランドなのでセールスポイントが多く、VEGAを扱うことで営業担当の士気も上がっている様子だ。ユニークなところでは、ENVEA社(フランス)のダストモニター「VIEW370」を「粉体流量計」として打ち出した結果、「粉体の流量を計りたいが無理だ」とあきらめておられた現場に注目されるようになった。粉体輸送の量が精確に計測できれば、材料の在庫管理など、仕事の効率化につながる。精確に計れるため喜ばれており、数字的にはまだ小さいが新分野の製品として期待している。

――環境計測器はいかがか。
環境部門の中心商品は、排ガスのばいじん濃度を高精度に計測するエレクトロダイナミック式のダストモニターだ。東京をはじめ全国のごみ焼却場に多く採用されている「Leak Alert73X」や「同65―02X」など、国内防爆認証の取得製品や、環境省の環境技術実証事業で認証された「VIEW 370」など、超高感度のハイスペックな製品を取りそろえて、細かなニーズに応えている。日本粉体工業技術協会「集じん分科会」に属する縁で大手集塵機メーカーとコラボレーションし、そのメーカーの集塵機に当社のダストモニターを設置して粉塵火災や爆発の防止を提案するなど、「防災」への企画も開始した。
だが当社が推すダストモニターの一番の活用法は、「バグフィルター(ろ布)の自己管理」ユースだ。複数のバグフィルターの出口をそれぞれ計測して排ガス状況を可視化し、ろ布の状態を個別に管理し、異常(破れや不全)のあったろ布だけを交換する。設置すれば合理的な管理が行え、ろ布のメンテナンス費用が抑制できる点が最大の価値。今年は原点に返り、改めて利点を大きくPRしていきたいと思う。
――汚泥濃度計の拡販については。
「汚泥の濃度を計りたい」とのニーズに応える超音波式スラッジ濃度計「ENV200」は、受波エンベロープで計算する方式で、従来の受波信号の振幅変化で計るタイプより精度が高いことが特徴だ。23年ごろから下水処理場や浄水場など、汚泥が出る現場でテストされてきており、大阪市をはじめ、吹田市や生駒市などでは本採用をいただいている。また、有力計測器メーカーとコラボレーションし、流量計などが並ぶそのメーカーのパンフレットに、このスラッジ濃度計を掲載してもらう試みも始めた。官公庁や公共事業者に販売網があり、河川や下水処理場などに大きなシェアを持つメーカーなので、汚泥濃度の計測が必要な現場の目に留まる機会が増え、拡販につながるのではと期待している。
また、マンホールなどによく用いられる投げ込み式の水位計は丈夫で扱いが簡便だが、泥などに埋もれてしまうと計測できないことが難点。この課題に対しては、国土交通省の新技術情報提供システム(NETIS)にも登録されている液体用レーダー式レベル計「VEGAPULS31」を積極的に提案したい。国内電波法認定品で700グラムと小型軽量ながら80ギガヘルツの高周波で安定かつ高精度に測定できる高機能製品だ。
――今年の抱負を。
VEGA製品はBluetoothさえつなげば、初期設定がリモート操作で行えるので、高所や危険な箇所への設置などに便利だ。安全作業や時間の節約にもつながるので、選択肢の一つとして取り入れていきたい。VEGAは船級認証を取っており世界の船舶に多く導入されているし、本国では洋上風力発電の現場にも実績があるという。洋上風力については実際に問い合わせも来ているので、新規分野の開拓と捉えてアプローチしていく。VEGAやENVEAなど性能が高い製品を扱っているので比較的優位に営業活動ができているが、今年は競合他社がそろって新製品を投入するようで、競争の激化は免れないだろう。会社自体の営業体制を強化するとともに、横のつながりも大事にしながら、地道に前進していきたい。