教育現場でプラリサイクル・再利用 リコーが実証実験を開始

リコーは鎌倉市教育委員会と共同で、教育現場で出た廃プラスチックの一部をリサイクルし、3Dプリンター材料として活用する実証実験を先月 28日から開始した。小学校の授業で児童が使用したプラスチック製のアサガオの鉢を回収し、同社がフィラメント(3Dプリンター材料)への加工を行った上で、3Dプリンターが設置された中学校へ3Dプリンター材料として提供する。

同社は、昨年からSTEAM教育(科学、技術、工学、アート、数学の5つの領域を統合的に学習する教育理念)推進のため「STEAM Lab実証事業」(主催・インテル)にパートナー企業として参加している。同実証事業は、インテルおよびパートナー企業が連携して、実証校におけるSTEAM Lab環境構築に必要な周辺機器・ソフトウェア等を提供し、STEAM教育のカリキュラム開発・実践をサポートするもの。今年4月から 24年3月までのSTEAM Labの実証地域の一つとして鎌倉市が選定されており、リコーは鎌倉市立手広中学校に3Dプリンターをはじめ必要な環境を提供・導入している。

社会におけるSDGsの広がりをうけ、学校教育活動においてもSDGsへの関心が高まっている。また、ますます発展していくデジタルファブリケーションの技術等を活用した教科横断的な学びの重要性が高まっており、環境配慮と技術活用の両方の視点が教育現場に求められている。こうした背景から、3Dプリンターの活用に強みを持つ同社グループと、教育現場におけるSDGsの学習に高い意識を持つ鎌倉市教育委員会が協力し、実証実験を行う。

市立小学校16校の授業で児童が使用したプラスチック製のアサガオの鉢を回収し、フィラメントに加工。3Dプリンターが設置された手広中学校へ3Dプリンターの材料として提供し、再生フィラメントを使った授業を実施。美術の時間におけるアート作品の制作や、学校用具など校内で使用するものの作製などに活用する予定。従来は廃棄されていたプラスチックを3Dプリンター材料として活用することで、プラスチックリサイクルの重要性を学ぶことに加え、身の回りの一部のモノへ変換することで生徒へのアップサイクルとデジタル化への取り組みの後押しを行う。現行の3Dプリンター材料は輸入品が多数を占めていたが、材料においても値段以外の新たな高付加価値と地産地消の考えを促し、持続可能検証を行う。

手広中学校での体験の様子
手広中学校での体験の様子