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実践知を社会転換へ サステナビリティ学会設立会員の募集を開始 来年2月に設立総会・第1回年会

気候変動、生物多様性の損失、資源・エネルギー問題、環境汚染、経済格差、人口減少・地域消滅といった今日の社会が直面する課題は、個別の分野ごとのの取り組みだけでは解決が難しい。環境、経済、社会、文化、政治、自然生態系にまたがり、相互に複雑に連関する「複合的・構造的問題」となっているからである。

こうした状況を踏まえ、研究者、企業、行政、NPO、地域団体、教育関係者、コンサルタント、学生、市民等、多様な立場の人々が集い、現場から生まれる「実践知」を共有し、社会転換へつなげる新たな場として、サステナビリティ学会の設立準備を進めている。同準備会は8月末、設立会員の募集を開始した。2027年2月17日に設立総会を開催し、同日と18日に第1回年会を開く予定である。

サステナビリティをめぐる取り組みは、半世紀にわたり積み重ねられてきた。その射程は、地球環境の有限性への警鐘から、環境と開発の両立、世代間の公平、環境・経済・社会の統合的発展へと広がってきたが、課題解決はまだまだ途上段階にある。これに対して、各地域や企業、市民活動等において、試行錯誤を通じて多くの知恵が生まれている。しかし、成功だけでなく失敗や途中経過を含む経験は、個人や組織の内部にとどまりがちで、他地域・他分野へ十分に共有されているとは言いがたい。学会設立の背景には、こうした現場の実践知を可視化し、相互に学び合い、研究・教育・政策・新たな実践へ結び付けたいという問題意識がある。

同学会は、①環境・社会・経済・文化を統合する実践知の開発と共有②持続可能な社会のビジョンを具体化する社会共創事業の実践③各地の実践活動を支え合う連携の場づくり――の3つを柱に掲げる。特徴は、繰り返しになるが「実践知の共有と実践への直接的貢献」を学会活動の中心に置く点にある。完成された研究成果のみを発表する場ではなく、進行中の取り組み、問いの段階にある構想、試行錯誤、失敗から得た学びも持ち寄り、対話を通じて知を育てる。従来型の口頭発表やポスター発表に加え、参加者が課題を共有し、提言や次の行動を形にするワークショップ型の企画も重視する。

発足後の運営は、年会・イベント、実践知共有、研究会・プロジェクト運営、全体調整・事務局という4つのグループで担う。年会やシンポジウム、セミナー、交流会の開催に加え、実践レポート、学会誌、動画等多様な媒体による発信を進めることを考えている。発足当初は実践レポートを重視し、会員規模や投稿状況を踏まえながら査読論文の仕組みを段階的に整える。

また、会員が自主的に研究会やプロジェクトチームを立ち上げることも想定する。都市と農山漁村の連携、再生可能エネルギー、気候変動教育、人口減少時代の脱成長、地域経済、福祉・教育・文化、ワンウェルフェア、環境問題間のトレードオフ等、統合的で実践的なテーマを扱う。学会は研究者・実践者・課題当事者のニーズとシーズをつなぎ、協働プロジェクトを後押しし、その成果を政策提言や教育プログラムの開発と普及にも展開していく。

同会設立準備会では、学会の活動スタイルを具体化する試みとして、7月4日に「ビヨンドSDGsの理想と実践を考えるミーティング」を開催したところである。この結果は提言書(第1弾)としてまとめ、特にビヨンドSDGsをテーマに、多様な主体による対話の場を各地で創出し、その成果を共有しながら対話を深めていくことの必要性を示した。サステナビリティ学会としても、2030年を待つことなく、ビヨンドSDGsを考えることを契機に、対話のプロセスの活性化と浸透を図っていきたいと考えている。

募集を始めている設立会員は、学会の趣旨に賛同し、準備会の活動に参加または支援する個人を対象とする。設立会員は手続きを経て27年度から正式会員へ移行する。研究と実践の間を往復しながら、持続可能な社会を共につくる人々の参加を募っている。詳細はサステナビリティ学会のウェブサイトにて、問い合わせは同会設立準備会事務局まで(contact@sustainability-society.org)。

 武蔵野大学工学部サステナビリティ学科教授 白井信雄

実践知を社会転換へ サステナビリティ学会設立会員の募集を開始 武蔵野大学工学部サステナビリティ学科教授 白井信雄 来年2月に設立総会・第1回年会_武蔵野大学 工学部サステナビリティ学科 教授 白井 信雄
武蔵野大学 工学部サステナビリティ学科 教授 白井 信雄=クリックで拡大=

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