バイオマス由来のメタン製造を事業化へ マレーシアで検討開始 IHI、大阪ガス

IHIと大阪ガスは19日、マレーシアでバイオマスのガス化技術を使ったメタン製造を事業化するため検討を開始したと発表した。従来、再生可能エネルギー電力をエネルギー源に使った水素をメタン化(メタネーション)する手法が知られているが、電力価格の高騰の影響を受けた。今回採用する方法は未利用の森林資源や農業残渣などのバイオマスをエネルギー源とすることで再エネ価格の影響を抑える。

事業概要図
事業概要図

現地の大手国営ガス・石油供給事業者であるPetroliam Nasional Berhad(ペトロナス)の技術ソリューション部門と覚書を締結した。グリーン水素などの非化石エネルギー源を原料として製造した合成メタンである「e―メタン」を製造する。事業の基本設計が実施できるか判断する。

事業はバイオマスガス化技術とメタネーション技術を組み合わせる。バイオマスを高温で熱分解し水蒸気と反応させるガス化の工程を経て、水素、一酸化炭素、CO2などの合成ガスを得る。合成ガスをメタン化し、再エネ価格に影響されないe―メタンを製造する。e―メタンは既存の都市ガスインフラや消費用機器が活用できるなどのメリットもある。

副産物として得られるバイオマス由来のCO2を地中に貯留(CCS)する場合、CO2を減らす「ネガティブエミッション」につながる可能性もある。

IHIはメタネーション設備の大型化や、海外でe―メタンのバリューチューン構築に向けても検討を進めていく。