東風西風 とうふうせいふう
水俣病の現行の認定基準である「昭和52年判断条件」について、環境省は、先般の被害者団体等との再懇談の場においても、2013年4月の最高裁判決で「否定されたとは考えていない」としており、この点で加害者側の姿勢を改めて鮮明にしたと言える▼水俣病特措法を巡るこれまでの3つの集団訴訟判決では、いずれも原告の水俣病罹患が認定されたことから、現行基準の科学的根拠が改めて問われており、それを見直そうとしない環境省の姿勢が問題視されている▼水俣病問題に長年取り組んでいる日本精神神経学会は、13年7月21日に発表した理事長名の声明で、同年4月の最高裁判決では現行基準に科学的根拠がないとする同学会の見解が採用されたと強調。環境省に現行基準を撤回するよう改めて要請している▼また、同学会が同日付で発表した法委員長名の見解では、その後の環境省の姿勢について、「明らかな論理のすり替えや科学的データの無視、食品衛生法における義務の徹底的な不履行という違法行為が公然と国政レベルで実行されている」とし、「国政の道徳的退廃を憂慮し、重大な危惧を抱く」と痛烈に批判している。重大かつ深刻で歴史的な人権問題であり、国連人権理事会の調査が必要ではないか。(真)