東風西風(2026年1月21日)

高市早苗首相が表明した2月8日投開票の衆議院選挙において、環境問題・気候変動対策が主要な争点として浮上する気配は極めて乏しい。首相が強調するのは「責任ある積極財政」や安全保障政策の転換、食料品の消費税減税といった経済・安保政策であり、環境政策は影すら見えない▼欧米諸国では気候変動対策が選挙の主要テーマとなることが珍しくない。24年の米大統領選では、民主党がEVや再生可能エネルギー推進のインフレ抑制法を看板政策とし、共和党との明確な対立軸を形成した。英国でも気候変動法の改正が議論され、欧州グリーンディールの是非が選挙の焦点となっている▼一方日本では、24年衆院選の世論調査で経済政策を重視すると答えた有権者が36・7%に上る一方、環境問題を挙げた人は極めて少数だった。国際社会では35年までに温室効果ガス60%削減が必要とされる中、日本の目標は30年46~50%削減にとどまる▼高市首相の解散判断は高支持率を背景にした政権基盤強化が目的だが、この選挙で問われるべきは将来世代への責任だ。気候危機は待ったなしの課題で、後回しにできる問題ではない。環境政策が争点化されない選挙は、日本社会の近視眼的思考を露呈するものと言わざるを得ない。(心)