東風西風(2025年5月28日)
現代は「VUCA時代」と言われている。VUCAとは、変動性、不確実性、複雑性、曖昧性といったことから物事の不確実性が高く、将来の予測が困難な状態を指す。その要因には、AI技術等の急速な発展や世界情勢の不安などがあるが、気候変動による異常気象や大規模災害といった環境問題もその一つに挙げられる▼この時代を生き抜くためには、自分の力で生きていく能力を身につけることが必要だと言われる。企業も、年功序列・終身雇用といった従来型の組織、経営体制から脱却すべきとの指摘もある▼そんな中で注目されているのが、「自律分散型経営」。会社内に役職、上下関係を設けず、従業員がフラットな関係となる組織で、これまでの日本企業とは全く異なる経営方法だ。意思決定は各従業員が行い、従業員の意識が高まることや多様な働き方に対応できることなどが期待できる。一方で、自己管理能力が求められたり、リスク管理が難しいといった課題もある▼すでに日本でもいくつかの企業がこの経営手法への移行に踏み切っている。自律分散型がすべての企業に合致するということはないだろうが、この難しい時代を生き残っていくためには、各企業が組織や経営について、見つめ直すことが必要ではないだろうか。(心)