東風西風 とうふうせいふう

今年春の選抜高校野球大会から選手が使用する金属バットが反発力の低いものに変わった。鋭い打球が投手に当たる可能性を減らすことなどが目的だ。正確にミートしないと球が飛ばないため、ホームランは減るが、学生の技術力を高めるのに有効だという▼基準が変わった一方で発生するのが旧式のバットの廃棄だ。木製バットは箸にするルートがあるが、金属バットもやはり素材に戻すのだろうか。そんなことを考えていたら、沖縄県高校野球連盟が県内から回収した旧式の金属バット約1300本のリサイクルに乗り出した。廃棄方法を探るために廃棄予定の金属バットを切断したところ、断面にボールが置けることから、記念ボール置きや、筒状になっていることからペン立てや花器などにも応用できることに気づいたという。同連盟は県内の工業高校などとともに製品化。アップサイクルされてなかなかの質感だ。売り上げは県内各校の低反発バットの購入費にと寄付された▼テレビが地デジに変わったときなど、これまでの基準が変わる際には旧基準の製品が大量に廃棄される。新基準に完全移行するまでに準備期間があるが、その期間内に有効なリサイクル方法を見つけることは難しい。今回の金属バットの件は珍しい例だ。(平)