東風西風とうふうせいふう

日本を代表する企業を含む236社が加盟する日本気候リーダーズ・パートナーシップは先月、異常気象と気候変動の関連を明らかにする科学的分析である「イベント・アトリビューション(EA)」の活性化を求める提言をまとめた▼それによると、気候変動に歯止めをかけるにはパリ協定の1・5℃目標の達成が必要であるが、残された時間は少なく抜本的対策が急務と指摘▼抜本的対策への理解を得るには、多くの国民が気候変動を「自分ごと」と考える必要があり、EAの強化で多くの報道が両者の関係性を言及するようになれば、国民の認識・理解が促進されると強調している▼そのため、EAを実施・発信する体制整備や予算・人事の拡充をはじめ、国交省や文科省などEA関連の官庁の連携による十分な網羅性、適時性、発信力を備えた研究の推進・強化や、海外の研究機関との連携によるEAの活性化への支援を求めている▼今回の提言では言及されていないが、気候変動への適応に失敗し、発生した「ロス&ダメージ」の補償にも、このEAが重要な役割を果たすのではないか。気候正義を実現するため、カーボンプライシングを超えた「気候変動被害補償法制」の検討も予想され、その時には抜本的対策も一気に進展することになろう。(工)