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東風西風(2025年5月21日)

今年で125年を迎える浜松・浜名湖の養鰻。かつては生産量日本一を誇ったが、シラスウナギの不漁や価格高騰の影響などを受け、生産者数は最盛期の400軒から27軒へと減った。その浜名湖で「うなぎの未来を守る」新たな挑戦が始まっている▼浜名湖養魚漁業協同組合がこのほど、新ブランド鰻「でしこ」の一般販売を始めた。大きくても身が柔らかい特長を持つ雌のうなぎで、稚魚から出荷まで地域内で養育し、認定飼料を使い、さらに2回の品質検査をクリアしたものだけが名乗れる。養育には、微生物の力で養殖池の土壌を最適化する「土作り」や、三方原砂れきでろ過された地下水を利用する「水作り」など伝統的技術が受け継がれているという▼浜松では、うなぎに関連してもう一つ注目の動きがあった。下水処理場で発生する未利用の余剰熱エネルギーを活用し、化石燃料に頼らない陸上養殖を行うパイロット事業が始動した(6面参照)。この処理場は、下水道事業では国内で初めてコンセッションを導入した先進的なところ▼乱獲や環境悪化によりうなぎの個体数は激減し、絶滅が危惧されている。両者のアプローチは異なるが、うなぎの資源回復と持続可能な利用を切り開く取り組みにつながっていくことを

期待したい。(宜)