東風西風 とうふうせいふう
お笑い界のショーレースが過熱し、流行語大賞が発表された。まるでお祭りのような気候変動COPが始まり、やがて閉幕する。いよいよ今年も年の瀬が迫る。1年分のあかとまとめて2023年の難題を一度の大掃除で清算できたならどんなに新年は清々しくなるだろう▼春から放射性廃棄物処分の候補地選びが本格化。夏の酷暑は北半球全土を地球温暖化の足音に気付かせた。ALPS水の放出は中国・韓国を中心に波紋を広げ、水産物の禁輸措置で政府・自治体は今も対応に苦慮している。水俣病の追加賠償命令にチッソと国・熊本県が控訴し、秋に怨嗟の声が上がった。――新たな問題、旧来の課題、古くからの難問の別の様相。目下、大みそかに向かって全速力のこよみと異なり、環境問題は膨らむだけで結末というものがない▼お笑い界は「遅咲きのアラフィフ」「悪口漫才」と年々話題だ。阪神タイガースを歴史的2度目の日本一に導いた岡田彰布監督の「アレ」が流行語大賞に。産油国で波乱含みに開幕したCOPは化石燃料の段階的廃止が検討された。社会や生活、流行も、物語のような終わりはなく、時代の雰囲気の中で縷々受け継がれ続いていく。与えられた環境を生かしてただ前へ。24年はどのような1年になるだろう。(潤)