東風西風 とうふうせいふう

政府は13日、水素供給利用促進法案とCCS(CO2回収・貯留)推進法案を閣議決定したが、気候ネットワークは同日、両法案の問題点を指摘し、水素等やCCSの利用は再生可能エネルギーの代替がある電力分野を全て対象外にすべきだとする声明を発表した▼声明によると、再エネがすでに実用化レベルで存在している発電分野では、火力から再エネへの転換を加速する政策が求められる半面、政府が化石燃料由来の水素等を手厚く支援することは経済合理性を欠き、公正な競争を歪めるとしている▼また、電力分野の脱炭素化は、30年から事業に着手するというようなCCS事業のスピード感とは相いれず、技術等の将来的な確立を期待してCCSを火力発電で使い続けることはCO2排出の固定化にしかならず、気候変動対策に逆行するとしている▼そのうえで、実用化に遠い水素等やCCSを経済的、制度的に支援する両法案は、今後の日本の気候・エネルギー政策の大きな障害になるものだとしている。日本の次期NDC(国が決める貢献)は昨年のCOP28の成果文書に盛り込まれた「35年60%削減」も視野に検討されるが、あらゆる選択肢を追求するなかでも、「再エネ最優先の原則」を堅持し最大限の導入を図っていくべきだろう。(工)