東風西風とうふうせいふう

「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす」。誰もが知る名冒頭文に改めて触れる機会があった。万事万物に「常」はない。今日と同じ日が明日も来ると考えるのは大きな誤りと諭され、今更ながら深くうなずいた▼念頭に置いて今年を少々振り返ろう。2月に5百万人を超えた新型コロナの国内感染者数は、ウィズ政策で間もなく3千万人超、収束の兆しは未だ見えず。ロシア侵攻、北朝鮮のミサイル威嚇、不穏な空気が各地で充満し、防衛費1・6倍とか▼驚愕に尽きる元首相の銃撃事件、明らかになった元統一教会問題、感情が揺れ動いた国葬。在位70年を祝された英女王の3カ月後の崩御と、哀悼に包まれた荘厳な国葬。ずさんな管理の観光船沈没、信じがたい通園バスの子供置き去り、マイカーでも。隣国では160もの若い命が雑踏事故で▼嬉しい話題はスポーツ界に。北京五輪で最多のメダル18、28年ぶりの完全試合達成、最年少三冠王誕生、W杯で強豪に勝利。邦人サポーターのごみ拾いも話題に▼炭素税は先送りだが、ボトルtoボトル、廃食用油からSAF、ごみからメタノール、下水汚泥の燃料・肥料化と、再生分野は着実に進歩・拡大。今願うは戦争とコロナの盛者必衰だ。(孝)