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東風西風 とうふうせいふう

最近の水俣病特措法を巡る集団訴訟判決などに影響している国提出の証拠の一つに、日本神経学会の理事会が環境省の求めに応じ2018年5月に作成した「メチル水銀中毒症に係る神経学的知見に関する意見照会に対する回答」がある▼この「回答」に対し、医学的根拠を持たない誤りとして、同学会の会員からなるメチル水銀中毒症研究会はその撤回を求める4度目の要望書を今年6月に提出している▼それによると、近年、同中毒症を最も研究してきた医師らの研究成果を無視しており、その決定にかかわったとされる「ワーキンググループ」のメンバーや検討過程も明らかにされず、環境省を通じて裁判所に提出されるなかで世間一般に公となる「異常」な公表経過を経て裁判に利用されたとしている▼また、各地の水俣病裁判で、同学会の理事経験者を含む多くの神経内科専門医らが、自ら同中毒症の正しい診断方法を知らないまま、患者が水俣病であることを否定する意見書を提出し、あるいは原告らの診断を否定する証言を続けていると批判。そのうえで、科学者を代表する組織として不適切なあり方を改めるよう求めている。この問題は国会でも取り上げ、環境省も意見照会を求めた経緯などを説明すべきではないか。(真)