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2023年我が社の環境ビジネス戦略 オカドラ 代表取締役 金井 正夫 氏

――昨年を振り返って。

国は下水汚泥の肥料利用の取り組みに本格的に乗り出した。

当社は横浜市の磯子区にあるが、2020年9月に産業廃棄物の汚泥を垂れ流した市内の某業者関係者5人が逮捕された事件があった。

道路工事の排出物やスーパーの廃棄物などが混じった汚泥470㌧を適切に処理しないまま下水道に不法投棄した疑いだった。摘発された業社は創業間もない1990年頃から30年間に渡って不法投棄していたとみられ、年間9000万円の利益を不当に得ていた可能性があるとの報道もあった。その後、 同じような事件が再び横浜市で発生したようだが、行政の管理が甘いと言わざるを得ない。また、現在取り組まれている下水汚泥の資源化のための肥料利用についても技術的、経済的に問題があると考えている。

――下水汚泥の資源化の背景と問題点について。

ロシアのウクライナ侵攻の影響で肥料価格が高騰する中、下水汚泥資源を活用した費用の利用拡大に向けた取り組みが官民連携で始まろうとしている。

2015年の下水道法の改正で、下水汚泥の燃料や肥料としての再生利用を努力義務化して以降、全国約2000カ所の処理場の約半数で汚泥の肥料化が取り組まれているが、実現された例はその一割程度に留まっている。

バイオマス発電に関しても、有機性廃棄物を嫌気性発酵し、その嫌気ガスを燃料などにして発電するが、ここまでは納得できる。1日100㌧の廃棄物を処理する際に100㌧超の消化液が発生するが、それを液肥として利用できるとされている点に問題がある。

肥料は一般的には春、秋などに利用するもので、その間の期間は消化液を貯める必要がある。貯めた液肥は、年間で約3万㌧になる。これを春と秋のそれぞれ約1~2カ月の間に運搬するためには合計3500台のローリー車が必要で、1日に約30回の運搬が求められる。

そのほか、消化液を活性汚泥処理方式で処理をしているところもある。これは消化液を液肥にする試みだが、高濃度のBOD、CODがあるため膨大な廃水処理装置を必要とし、その分敷地面積も大掛かりとなる。また、発生する脱水汚泥の量は1日あたり100㌧の消化液で、約20~30㌧(含水率85%)が発生し、この処理を廃棄物として系外処理をしなければならず、汚泥の発生量も365日で7000㌧~1万㌧超となる。費用は1・4億円~2億円超となり、20年間で最大40億円超のコストがかかる。

これらの消化液(含水率95%)や活性汚泥装置からの脱水汚泥(含水率80~85%)を系外処理する際、ほとんどが廃棄処理か焼却している点にも問題がある。

――乾燥処理の課題。

一部の業者は乾燥処理をしているが、使用されている装置は熱風乾燥がほとんどだ。そのため、膨大な臭気ガスを伴う廃ガスが発生し、この処理が問題となっている。

ほかの一般的な乾燥方式も同様だが、こうした乾燥方式はどれも廃水が発生し、この処理に多量の燃料を要する。また、乾燥設備や廃ガス処理設備、廃水処理設備などを備える必要があり、莫大な設備費とランニングコスト(燃料・経費)で悩んでいる。

その対策として、燃料コストの節約になるとの観点から、生ごみを土に接触させ、土中の微生物やミミズなどの働きで分解して堆肥化するコンポスト方式を採用しているところもある。しかし、安定した肥料を製造するには好気性発酵期間を3カ月以上必要とするが、季節により発酵速度が変化するため、安定した肥料ができにくい。またこれほどの期間が掛かるため、膨大な敷地(1日30㌧製造の場合約2万平方㍍)が必要となる。そのうえ建屋が必要だが、脱臭不可能な強烈な悪臭が発生するため、人里離れた場所に設置する必要があり、そこからの運搬も大変だ。

――汚泥の性質について。

汚泥内部には細胞組織があり、この細胞組織を破壊しない状態で発酵完了して湿気などを与えると、嫌気性発酵(腐敗)を起こす。また、カビも発生するため、肥料として地面などに撒くことは不可能となる。

下水処理場などではコンポスト方式の処理方式はできない実情だが、一部では焼却していると聞き及んでいる。しかし焼却は「多くの燃料を使用して大気にCO2を放散する」ことになり、脱炭素社会を目指す時代感覚とかけ離れた問題外の行動に思われる。

――解決に向けての提案。

当社は全ての有機物をボイル乾燥する方式の縦型蒸気加熱乾燥機(サイクロン・ドライヤー)を開発しており、全国約360カ所超に実績をもっている。この方式は通常の乾燥機と比較して3~4倍の効率を有しており、乾燥機に直接汚泥(80~95%)を投入すると約10分以内に煮沸現象を起こし、そのまま40~45分内で乾燥することができる。また発生するのは水蒸気のみで、通常の熱風乾燥や横型乾燥機のような大量の廃ガスが発生することはないため、その処理が簡単なのも特徴だ。 

また、システム内では無廃水無臭システムも完備している。通常の横型乾燥機ではボイル乾燥はできず、もしボイル機を別に設置しても汚泥をボイルすると、ドロドロのスラリーとなる。

一方、当社のサイクロン・ドライヤーは、ドロドロのスラリーでも全く問題なく乾燥できる。

また、 前述のように系外から全く空気を入れないため、乾燥物からは水蒸気のみが発生し、脱臭コストも最少で済む。ほかの乾燥機は系外から空気を取り入れるため、大量の廃ガスとなり、脱臭コストが膨大となる。 

――最後に今年の抱負を。

汚泥などの処理を考える際には、まず「生もの」であるということを考えていただきたい。

当社のボイル乾燥技術は、肥料の安定した製造と使用を実現し、汚泥内部に潜んでいる有害なバクテリアなども完全に煮沸殺菌するため、簡便な処理を可能にする。

こうした当社の持つ乾燥技術のノウハウを生かし、安全・安心を第一としたボイル乾燥を訴求して肥料化に向けた提案を進め、サステナブルな社会の構築に貢献していきたい。

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金井正夫氏