2023年我が社の環境ビジネス戦略 プランテック 代表取締役社長 勝井 基明 氏

――2022年を振り返って

当社は昨年55周年を迎えた。これまで導入したプラントが167、このうち竪型ストーカ式焼却炉(バーチカル炉)は44施設に56基導入となっており、バーチカル炉の実績が着実に増加してきた。石川県の輪島市穴水町環境衛生施設組合の施設が竣工を迎えた他、民間案件2件、海外案件1件、大規模改修案件4件が竣工し、忙しい1年だった。

そうした中、鹿児島県の種子島のプラントが納入から10年が経過したが、その間火格子の交換がゼロだったという実績もできた。こうした実績により、当社のプラントがシンプルで故障が少なく、堅牢なプラントであることを改めて証明することができた。新たな受注も非常に好調な状況で、昨年は5件の建設工事が始まった。今年は茨城県の高萩・北茨城広域事務組合の施設と民間向け120㌧炉の2件のボイラー発電付き施設が竣工し、他の民間案件4件と合わせ計6件が竣工する予定となっている。

――昨年竣工したプラントの特徴は。

輪島市のプラントは、1炉構成で16時間の間欠運転という、当社としても初めてのケースとなった。種子島では1炉24時間運転だったが、今回は焼却炉にとってより過酷な状況の16時間運転となる。種子島などの実績により、稼働率が高く信頼性のあるプラントということが評価され、1炉16時間が採用された。また、少量ながら汚泥も焼却する予定で、幅広い廃棄物を対象とする当社のプラントが認められた証だと考えている。

民間案件では、当社が得意とする医療廃棄物処理に関する案件の引き合いが引き続き多い状況だ。医療廃棄物は新型コロナの影響でまだ増加傾向にあり、そうしたことからも受注が多くなっている。海外はインドネシアで、昨年2月に引き渡しを行った。こちらも医療廃棄物を含む幅広い廃棄物を対象としており、処理能力は日量50㌧となっている。今後、アジアをはじめ海外の販売活動をより強化していきたいと考えている。

国内では今年も新たに民間案件の工事がスタートする予定で、バーチカル炉の認知度も着実に上がってきており、その優位性などを判断して選んでくれるお客様が増えているのを実感している。

――プラスチック資源循環促進法がスタートしたが、焼却への影響は。

今のところ影響が出ているということは聞かないが、今後焼却物からプラスチックが抜かれ、廃棄物の質が変わることが予想される。しかし、そうした変動にも対応できるのが当社の炉の特徴なので、既存の施設もそのまま安心して使っていただけると考えている。むしろ当社技術の優位性が今後さらに高まるのではないかと考えている。

――人材確保などの取り組みは。

新卒採用は引き続き行っており、おおむね目標人数は確保できている状況だ。プラントの引き合いも増えているので、そうした状況に対応できるよう、人員を増やしてより強固な組織作りに取り組んでいかなければならない。最近は運転管理の受注も増えてきているので、新卒採用だけでなく中途採用、現地採用なども含め、幅広く人材を確保していきたい。教育体制の見直しにも着手しており、数年先には成果が出てくるものと思っている。今後民間でもボイラー発電付きの案件や大型案件などが増えてくることが予想されるので、対応できる組織づくりを進めていきたい。

――新たな展開は。

今後は廃棄物処理の分野で官民連携案件が増えてくることが予想されるので、当社炉の幅広いごみに対応できる特徴を生かして貢献していきたいと考えている。産業廃棄物と一般廃棄物を混焼する際の比率の変動にも柔軟に対応できる強みを発揮して、官民連携案件を当社の新たな得意分野としていきたい。一般的には産廃用、一廃用で異なる炉形式を使用しているため、産廃と一廃を混焼する際にどの形式で対応するか難しい面があると思うが、バーチカル炉はどちらにも対応できるので、そうした迷いがない。

――今年の展望は。

今年も非常に多くのプラントの竣工が予定されているので、まずはそれらを確実に完成させて、お客様に引き渡していくことが重要だ。海外でも受注の拡大を目指しており、早期に新規案件を獲得したいと思っている。また、大型の引き合いも増えているので、これに対応していきたい。まだ現状では1炉95㌧が最大の稼働実績なので、今後は150㌧、200㌧と大型化し実績を積み上げていきたいと考えている。

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勝井基明氏