2023年我が社の環境ビジネス戦略 アンカーネットワークサービス 代表取締役CEO 碇 隆司 氏

――昨年を振り返って。

当社はパソコン、複合機、ネットワーク機器などの買取・販売を中心にデータ消去サービス、産廃の収集運搬・中間処理、リサイクルパソコンの販売、OA機器のマテリアル処理などを手掛けている。中国での新型コロナウイルスを封じ込める「ゼロコロナ」政策の影響などもあり、昨年は中古パソコンの平均販売価格が4割程下がった。中国シフトを取っていたお客様が多く、半導体工場の封鎖で暴動が起きるなどして購買力がなくなり、リーマンショック以来の厳しい状況となった。

――対応策は。

当社としても国内需要にフォーカスして、学校関連や法人企業、ECサイトに販売をシフトし、日本国内の販売に注力している。直接エンドユーザーへの販売による販売単価の底上げやレンタル、サブスクなどで販売事業に関わる収益を向上させている。

またテレワーク需要やスクールパソコンの需要も高まっており、中古PCについては8割以上の方が「中古品はすぐに壊れてしまう」などのイメージをお持ちだが、実際に使ってもらうと「特段の問題はなかった」というアンケート調査も出ている。

また、CO2などの温室効果ガス対策に効果があることも後押しになっている。パソコン生産には、新品では素材の採掘から始まるので多くのCO2が排出されるが、中古品の場合、運搬や検査にかかる電気代などが新品製造に関わるCO2排出量と比較して少なく済む。

そのほか、排出権取引が盛んになってきているが、カーボンニュートラルの国際機関あたりで現在認められている廃タイヤ1万円などに加え、中古パソコンも申請できたらよいと考えている。販売される毎に1台2500円ぐらいの計算になるように、排出権取引に中古パソコンが加えられたらと考えている。

――有価証券報告書については。

CO2排出量を部品の製造時まで踏み込み規制する動きが出ており、2025年からは気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言と同等の枠組みに沿った取り組みが必要になる。スコープ1、スコープ2の開示が必須のほか、スコープ3も推奨されており、企業はサプライチェーン全体での削減にいよいよ手を着けざる得ない状況になっている。当社でも事業活動を通じて発生するCO2排出量の計測やESGを視野に入れたSDGs環境レポートなどを搬出事業者様に代わってご提供する仕組みを構築中だ。

IT部門に携わる担当者様向けには、パソコンのライフサイクルマネジメントシステム(LCM)だけではなく、ライフサイクルアセスメント(LCA)の観点から、パソコン何台、サーバー何台使って電気代を計算する方式があるが、そういうツールの開発への取り組みも進めている。来年早々には、ITを活用してステージごとにどんな使い方しているのかを周知する一方、再資源化によってどんな効果があるのかを数値化するソフトを販売したいと考えている。

――環境福祉の取り組みは。

障害者の皆さまには、就労という社会と関わる機会も創りたいと取り組んでいる。具体的には、パソコンの解体作業を障害者の皆さまに実施いただいており、当社の工場内および就労支援施設での解体作業も含めて1日50人~200人が働いている。障害者支援団体と協業して、OA機器の手解体・分別の作業委託をすることで、就労支援事業への協力とOA機器のリサイクル率の向上を実現している。

――最後に今年の抱負を。

令和になった途端にコロナ禍や戦争が起きるなど暗いニュースがあった。こういう大変な時こそ皆で繋がる事が大事だ。今こそ、人に寄り添い、物に寄り添い、情報に寄り添い、地球に寄り添える、サステナブルな社会を目指し、皆で寄り添う。自分も一人の地球環境に生かされている市民の一人として「凡事徹底」。廃プラとなり得るものを使わないなど、自分で地球のためにできることは全て行って地球や社会、皆と繋がろうという意識、想いでウサギのように跳ね上がっていきたい。

環境とガバナンスと社会貢献を一生懸命取り組んでいる企業同士が一つに繋がっていければよいですね。

image
碇隆司氏