JR賞 準グランプリ・古屋圭司初代国土強靱化大臣賞 エー・シー・エス 「日本初! 豪雨災害局地ハザード情報システム」
【システム概要】
エー・シー・エス(熊本県益城町)の「豪雨災害 局地ハザード情報システム」は、降水情報、地形情報、現地情報から10メートル四方ごとの危険度を取得し、今後6時間で危険になる箇所を、集落や家1軒ごとの危険度まで分かる、これまでにはない「局地ハザード情報」として提供する。10メートルメッシュ単位で斜面の勾配等を考慮した集落や戸別の危険度を捉え、土石流の発生の原因となる崩壊危険度の連続性を監視することで、土砂災害警戒区域の時間経過での危険度の変化を捉え、動的ハザードマップ情報につなげる。
警報の発表や台風の接近など災害の危険が高まった際には社内に防災デスクを設置し、24時間体制で遠隔支援を行っている。単なる操作方法のサポートにとどまらず、危険度情報の見逃しの防止を支援するなど、市町村と一体となって災害対応に取り組んでいる
市町村長は危険が迫っている住民に対し的確な避難対応の指示が出せる。分かりやすい局地的な情報により、地域住民は自主的な避難が可能となる。土砂災害警戒区域などの静止的ハザードマップを、時間的危険度の変化を反映した動的なハザードマップに変えることにより、防災担当者は的確な行動が取れる。危険地の住民の自主的な避難活動につながる。
【運用経緯】
2017年7月の九州北部豪雨災害で、福岡県朝倉市では山間部で予測のつかない土砂災害や河川氾濫が多発した。災害発生場所は山間部の危険情報の空白地帯であり、また崩壊箇所下流の住民を再度災害の危険からいかに守るかが緊急の課題だった。これに対し、防災科学技術研究所、ゼンリン、富士通クラウドテクノロジーズ、朝倉市は共同で、危険度情報の空白地帯をなくす実証実験を18年6月から1年間行なった。実証実験では、個々の河川、斜面の危険性を予測し、集落や家屋の危険度を住民の身近な危険情報として可視化した。実証実験中に起きた18年8月の西日本豪雨でも、災害対策本部で当システムを活用し、避難指示の範囲を拡大していった。朝倉市はシステムの有効性を評価し、導入して活用している。きめ細かな住宅地図を提供するゼンリン、安定したクラウド基盤を提供する富士通クラウドテクノロジーズ、防災・危機管理システム開発を行ない、山間部、河川、干拓地等における水の移動に伴う防災の研究及び調査も行うエー・シー・エスそれぞれの強みを結集し開発・運用されている。
【今後の展開】
土砂災害警戒区域は全国に67万カ所存在し、過去5年間で500人以上が豪雨災害で亡くなっている。全市区町村へ展開の可能性がある。
東南アジア等、日本と同様な豪雨災害のおそれのある海外への支援展開も考えられる。