〈PR〉2027年問題は経済安全保障の重要問題 自分の身は自分で守るしかない あかりみらい 越智代表、国際ジャーナリスト 堤氏
株式会社あかりみらい 代表取締役 越智 文雄 氏
国際ジャーナリスト 堤 未 果 氏
自治体向けなどの省エネ・危機管理の総合コンサルタントを手掛けるあかりみらい(札幌市、越智文雄代表取締役)が、昨年より警鐘を鳴らしていた照明の2027年問題がいよいよ日本の社会や経済に影を落とし始めている。
そこで、国際ジャーナリストで社会問題を鋭く評論する堤未果さんと、同社代表の越智文雄が対談し、現状の課題や今後の対策、戦略を探ります。
越智 堤さんとはウェブ番組でもこの件を取り上げましたが、27年には世界中の蛍光管が製造禁止になるという非常事態についてどう考えられますか?
堤 今ネットで話題になっている、「最後の1本編」というCM、あれを見た時ゾッとしました。27年に日本で最後の1本になった蛍光管が、チカチカ光った後に消えて、社長が涙を流すんですが…。そんな大変なことが3年後に迫ってることを、まず国民が全く知らされていないでしょう?
越智 この事態を避けるためには、蛍光管がなくなる前に照明を全てLEDに変える以外の方法はないのですが、問題は、あかりみらいの意見広告やアイリスオーヤマのコマーシャルでこの事態を国民が知らされているという事実で、政府の対策も全く見えず、自治体や民間への周知もされていません。
27年までに自治体も民間も政府施設も全てをLED化するというのがどれほどの大事業かということを政府自体が認識していないのです。
堤 とんでもない話ですね。この問題を時系列で見ると、昨年11月のCOP5で、「水銀に関する水俣条約」が締約されたんですね。水俣病という公害の歴史を持つ日本は議長国として旗を振ってきた。NHKを始め報道もそこを強調するので一見「地球環境にとって良いルールができた」くらいの印象でしょう。
ですが実はここには、報道されないもっと大きな問題が隠れていたんですね。LEDの発光ダイオードの原料「ガリウム」の98%を、何と中国一国が抑えているんです。世界中で熾烈な資源の奪い合いが起きているのは、それによって他国を支配できるからです。
自前でできなければ輸出国に握られてしまう。中国の資源外交は有名で、前の本で取材したフィリピンも中国に電気インフラを握られてしまった一例でした。今回条約に関わった経産省や外務省には、その危機感はなかったんでしょうか?
越智 私は現在、主に1780都道府県市町村を相手に省エネと危機管理のコンサルティングをしていますが、まさに社会経済の基幹機能である「灯り」を他国に握られてしまった非常事態なのです。
例えば東京都でも大阪府でも、何十万施設もある公共施設の何億灯あるかわからない照明を、あと3年でLED化するのはとうてい無理です。でも、これが間に合わなければ「最後の1本編」のコマーシャルのように、学校も病院も工場も、商店も、その機能が果たせなくなるのです。
地下鉄や地下街が真っ暗になるなどシャレにもならず、空港や港湾、トンネルや防衛施設なども、すぐに完全LED化を終えなくてはなりません。
堤 NHKの番組では、一般家庭の半数しかLED化されてないと言っていましたが、それどころか、日本全体で今どれだけLED化が完了しているんでしょう?
国はのんびりしているように見えますが、早く手を打たないと間に合わないのでは? 越智さんは早くからこの問題に取り組んでおられますが、具体的な解決策は何でしょうか?
越智 まず政府としての緊急専門家会議を召集すること。今のところ誰もこれを非常事態と認めていないわけですから共通認識を作るところから始めなくてはならないのです。民間コマーシャルで国民が知らされ、政府が無策のままにパニックが起きるようなことは防がなくてはなりません。
これほど巨大な需要に対して短期間でサプライチェーンを確保することは極めて困難です。これを工事する電気工事業界は空前の人手不足で、働き方改革が輪をかけています。
自治体が起債したり、民間企業が借入金で対応しようとしても、金融機関が数兆円の資金調達ができないということにも、政府は気がついていません。全ての省庁も自身が、その行政災害の当事者であり被害者になるのですから、真剣に緊急事態宣言をしなくてはならないと思います。
堤 なるほど、まさに「緊急事態」ですね。
ウクライナ紛争の時も、燃料や農業資材が高騰したり、輸出元が外に出さなくなって日本の農家や畜産が大打撃を受けましたよね。同じパターンで、中国が原料値上げや供給制限したらこっちも「国難」になるでしょう。
今、米中間の緊張や尖閣問題、台湾有事など、政治的にも輸出規制の火種がありますし。そもそもLED化が終わってない国は日本だけじゃないですよね? 国際的な資源戦争になるんじゃないでしょうか?
越智 先日、民間ベースでこの問題を商機と捉えた中国投資家グループが中国国内での供給のマーケティングを行ったところ、中国でのLED化はブームを過ぎており、価格が暴落し生産能力も大きな余剰が出ているそうです。
これを背景にした日本市場への工作だったと思いますが、彼らは国際情勢によっては中国国内のLED工場に輸出禁止の命令が出ることを恐れており、韓国やベトナムからの日本への輸出を検討しているそうです。
堤 なるほど、中国側は売り先を探しているわけですね。
LED化が遅れている日本は、どう見ても次の市場として格好のターゲットじゃないですか。穀物でアメリカにやられて、乳製品でEUにやられて、次は中国で、下手したらあのCMのように電気が消えてしまう!?なんて事態は何としても避けないとですね。
まだできることがあるという越智さんのお話に少し希望が持てましたが、それにしてもこの問題を国会議員のほとんどが知らないということ自体が危機的なので、まずは越智さんの言う「日本の灯りを護る会」の超党派議員連盟を作ることからですね。