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2023年我が社の環境ビジネス戦略 大栄環境 代表取締役社長 金子 文雄 氏

――昨年の状況は。

昨年は新型コロナウイルスの影響が続き売上等の成長率が鈍い状況で始まり、今年度のスタートにはウクライナ問題もあって、厳しい状況が続いた。9月頃からようやく経済が動き出し廃棄物の量も増え始め、以降は好調に推移し、売上、利益とも順調に確保できている状況だ。上期は前年度比で見ると2・4%程度の増収となった。M&Aを行った子会社の収益改善が進んだことなどで、営業利益は前年度比で10・6%のアップとなった。

――新たな施設整備なども進んだが。

2019年と比較すると再資源化施設、中間処理施設の能力を1・7倍程度に増強した。合わせて土壌浄化施設も1・7倍に増強しており、これらの設備投資を行って来たことが経済回復後は必ず利益や売上につながると見ている。コロナ前の19年までは14年を起点に年率10%程度の成長を続けていたが、コロナが収束すればまたその水準に戻る可能性があると考えている。三重県伊賀市の食品廃棄物等のメタン発酵発電施設、堆肥化施設が11月と10月にそれぞれ稼働し、今年は兵庫県三木市で処理能力440㌧の焼却施設が完成予定となっている。

――コロナ禍で地域交流も難しい状況だが。

三木市と伊賀市で地域の方々と触れ合うイベントを行ってきたが、コロナ流行以降は中止を余儀なくされている。ただ別のさまざまな形で地域の方々とは交流を続けているし、コロナが落ち着けばまたイベントも実施していきたい。まだわれわれのことを知らない方々もいるので、より多くの方に知ってもらうような活動を続けていきたい。地域密着は当社の一番の強みであり、最も重要なことと位置付けている。

――昨年12月に東京証券取引所プライム市場に上場を果たしたが。

13年に三重エネルギープラザが竣工して以降、14年頃から自治体やさまざまな企業との取引が増え、19年まで右肩上がりの成長が続いた。M&Aなども進め、当時子会社が32社になり、社員数は2千人を超える状況となったため、子会社管理や内部統制をどうしていくかが課題になった。さまざまな検討を行った結果、上場企業に求められるコーポレートガバナンス・コードに沿って取り組むことが、最も内部体制強化に効果的だと判断した。また、現在自治体関連の売上が20%程度を占めているが、これをさらに高めていきたいと思っており、それには市民目線で承認・認知されることが必要で、上場することで知名度が上がり透明性を確保することができる。この2つが上場を決めた大きな理由だ。

――業界へのインパクトも大きいのでは。

排出側にきちんと物を言えるような立場の企業があまり存在していなかったのがわれわれ業界の最大の課題で、このために価格の過当競争などの状況が続いていた。他の業界のように政策にも関与でき、産業界に意見できる存在が出てこなければ、この業界も成長していかないだろう。

――脱炭素、プラスチック資源循環の対応は。

プラ新法については、31拠点あるグループの資源化施設を活用し、プラスチックを扱う企業等とパートナーとなって認定事業者の申請等を行っているところだ。現在414の自治体とすでに取引があるので、各自治体のプラスチックリサイクルの取り組みに貢献していければと考えている。プラスチックのリサイクルについては、すでにグループ会社のプラファクトリーで再生プラスチックからパレットを製造するマテリアルリサイクルに取り組んでいるが、ケミカルリサイクルについても、現在神鋼環境ソリューション、三菱化工機、三菱ガス化学とプラスチックを主体とした廃棄物をガス化し、それをもとにメタノールを合成する実証を、子会社のDINS関西に実証プラントを設置して進めようとしているところだ。採算性が見込めれば商用プラントを建設する計画だ。プラスチックリサイクルを進めることで、脱炭素社会にも貢献していきたい。

また、焼却施設の能力を現在の日量2千㌧から30年までに4千㌧に倍増させる計画だ。その一つが三木市の440㌧の施設で、他に兵庫県西宮市では現在日量50㌧の焼却施設を220㌧の発電付き施設に、大阪府和泉市の溶融施設は化石燃料で溶融し効率が悪い面があるので、220㌧の焼却施設に変える予定だ。大型化を進めることで、当面は原単位のCO2を抑えていく。30年以降は廃プラ等を焼却した際に発生するCO2については、CCUなどの技術を活用して再利用することもメーカーと組んで検討しているところだ。

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金子文雄氏