2025年 我が社の環境ビジネス戦略 オオスミ 社長 大角 武志 氏 セミナー開催とコンサル業務に注力
建設業向け化学物質リスク管理と臭気対策で新事業
――業務の状況は
本業の調査・分析業務に関しては、関東エリアで再開発が活発なため、アスベスト調査や土壌汚染調査の依頼が多かった。また昨年、化学物質の規制が強化され、リスクアセスメント対象物質を取り扱う事業所や製造業に向けた労働衛生コンサルティングサービスも好評だ。

――化学物質法規制強化への新たな取り組みは。
労働安全衛生法が、昨年4月に改正され、規制強化に伴い多くの相談が寄せられている。そこで今年から希望日にウェブで受講できる化学物質取扱事業場向けの化学物質管理者講習を行う。料金は1人1万円。
化学物質管理者と保護具着用管理責任者講習の講師派遣も行う。
従来の化学物質管理者講習会は主に製造業向けだったが、建設業も塗料・接着剤など化学物質を使用しているので、労働者の安全のためのリスク管理が必要だ。当社は残土の分析、室内空気環境測定で建設業とのつながりは大きく、これまで環境ウェブ講座を開催し分かりやすいと好評だったので事業を拡大する。7月の安全週間の時期に安全大会を開催する企業が多いので、安全大会の講習会に講師を派遣することにした。
――他社へのコンサルビジネスは。
環境法令順守をチェックする「環境部長」を商標登録し10年前から展開してきたが、近年になり依頼が増加している。特にコンプライアンスを目的とした調査や、M&Aに伴う環境リスク評価のための調査も増えてきた。環境関連法は多岐にわたるため、法令の対象外だと思っていたり、うっかり漏れていたりと、法令違反に気づいていないケースが多い。技術者を現地事業所に派遣し、適切な法令順守をサポートする。
――セミナーの開催は。
今年も月1~2回、環境法令や運用などを中心とした環境ウェビナーを無料で開催する。ウェビナーでは、有機フッ素化合物(PFAS)やマイクロプラスチック問題など多岐にわたるテーマを取り上げている。参加できなかった方に向けた有料配信も行っている。
さらに今年4月からは、新たに公認会計士の吉川武文講師を迎え「製造業向け脱炭素経営塾」として、有償の実講座を開催する。
――臭気問題への新たな取り組みは。
近年臭いのトラブルでの相談が増えている。特に店舗、ホテル、製造工場からの相談が多く、設計事務所からの依頼も増えている。単に排水管の掃除で対処する会社もあるが、原因の究明を行わないと根本的な解決にはなりえない。
そこで当社では「ドクター・スメルグッド」と名付けた専門家集団を結成し、解決にあたることにした。臭気判定士が調査を行い、原因を特定し、対策まで一貫して対応する。全国対応可能で、特に原因不明や正体不明の臭気特定および対策に力を入れる予定だ。
――社内の話題は。
本社4階の食堂が「オオスミ・カフェテリア」として社内交流の促進を目的に、利用者が集いやすい空間づくりを意識してリニューアルオープした。また、東京支社では会議室をセミナールームとして活用できるようリニューアルした。
11月に、ホームページをリニューアルした。さらに毎週水曜日に技術ブログを掲載し、情報提供を行っていく。時代に合ったテーマ、例えばPFASに関する解説などを行っている。
――社員の健康増進への取り組みは。
横浜市が認定する「横浜健康経営認証」において、昨年最高ランクの「クラスAAA」を取得した。合わせて「かながわ健康企業宣言」でも健康優良企業として最上位クラスの「★5認定」を取得した。当社では、従業員の健康維持と増進のため、特定保険指導の推進、ヨガや睡眠セミナーの実施、禁煙外来費用補助など、多様な取り組みを行っており、これらが高く評価された。
――社会貢献活動は。
当社は2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系にすることを目指す30by30に登録した。
環境教育にも積極的に取り組んでおり、昨年は地元横浜市内の横浜緑ケ丘高校、瀬谷高校、オルタナティブスクールのホクレアに対し教育支援を行った。高校では、生徒主体の活動が進む中、当社の社員は専門知識を提供してサポートしている。横浜緑ケ丘高校では「緑の探求」という活動で生徒がグループ毎に自主的にテーマを決め研究を進めた。
職業講話はNPOを通じて、当社の事業を説明し、中学生に仕事の魅力や楽しさを伝えている。