国土強靱化地域計画賞優秀賞 3D技術を活用した水害のVR体験と防災マップ作成 熊本県玉名市
最新の空間情報デジタル技術を使った防災への取り組みが評価された。
2016年4月の熊本地震や頻繁する豪雨など過去の災害から得られた経験を教訓とし、国土強靱化の取り組みを進めることにより、被害を最小限に抑え、災害に強く「安全安心な玉名市づくり」を着実に推進することとしている。市における水害被害は、1990年に月瀬地区において135世帯が床上浸水した。

また2018年7月には菊池川の警戒水位を超えたため、総人口の約1%に当たる561人が避難する事態が発生した。近年、ますます災害が激甚化・頻発化・広域化する中で、災害リスクを把握し、事前に社会全体で災害に備える必要性がますます高まっている。また、防災意識の向上や事前の避難計画の取り決めが重要であることから、全ての人に災害や避難に関する情報を分かりやすく的確に伝える必要がある。そこで、災害リスクを三次元かつ時系列で可視化すること等により、災害リスクを分かりやすく直感的に理解でき、住民の防災意識の向上につなげるため、22年度に創設された都市空間情報デジタル基盤構築支援事業を活用し、災害リスク可視化事業および3D(立体)避難シミュレーションのバーチャルリアリティ(VR)制作事業を実施した。PLATEAUの3D都市モデルで現実の街並みをリアルに再現した。それを基に浸水および避難シミュレーションを作成し、地域の住民に浸水被害をVR体験してもらうことで、防災意識の向上と避難誘導の高度化を図った。また、23年度からVR機器等の貸し出しも行い、23年度末時点で22団体、300人に体験をしてもらった。24年度は在中の外国人向け防災セミナーでも体験してもらった。
さらには23年度に民間との連携の熊本県DX実証事業にて、「熊本県菊池川流域防災マップ」を構築した。24年2月に2回ワークショップを開催し、計70人の民生児童委員協議会や熊本県立大学の学生へ普及啓発を実施した。