水コン協 管路、処理場等の災害復旧テーマに
全国上下水道コンサルタント協会(水コン協)は21日、災害時支援者育成講習会を東京都内でオンラインと併催で開き、合わせて300名超が受講した(写真)。講習会では、災害復旧事業に関する制度や災害査定の進め方、水コン協が刊行する「災害時支援マニュアル(下水道版)」の概要等を学ぶ基礎編と、管路施設の災害復旧、処理場・ポンプ場施設の災害復旧、災害復旧支援パターンと契約について、水コン協災害時支援委員会の委員らが講義を行ったほか、熊本市上下水道局と日本下水道事業団(JS)の職員が基調講演した。
基礎編では、NJSの戸田博之氏が、過去10年の大規模災害の被害状況について、補助対象の決定額の比率で整理した結果を紹介。施設の工種別被害状況では、下水道の被害は河川、道路、橋梁、砂防に次いで5番目で、主要原因は風水害が8割超などとし、対策として、被災後に災害復旧と合わせて未被災箇所の浸水対策を進める改良復旧事業や、2021年の流域治水関連法の施行に基づく、下水道・浸水想定区域図の策定、雨水貯留管等の整備加速などを挙げた。
管路施設の災害復旧については東京設計事務所の大場勝氏が解説した。
大場氏は管路の1次調査、2次調査、査定図書策定のポイントについて、熊本市や益城町などでの支援事例をもとに紹介。1次調査ではGISによる作業が効率的であることや、調査結果を日報で都道府県に提出すること、2次調査では調査様式、写真撮影方法、調査資料のデータ管理方法を統一し自治体や他団体との連携をスムーズにすること、査定図書の作成では下水道台帳システムの活用とタブレット等を活用した情報管理、他都市の地域特性を踏まえた災害復旧マニュアルの準備などを挙げた。
基調講演では、熊本市上下水道局の職員が、21年7月豪雨時の熊本県人吉市での下水道管路支援と、22年度の熊本市下水道BCP「図上・現場」訓練の実施結果を報告し、JSの職員は、22年8月末現在までの災害支援の実績を報告した。