寄稿◎高濃度銅排水流出事件の教訓(前編) 環境コンサルタント 大岡健三 工場排水を下水処理する事業者が刑事で有罪
事件の概要
長野県茅野市のプリント基板製造工場で、銅を含む未処理排水約2トンが外部へ流出した。漏えいした排水は県条例基準の数百倍の銅を含む汚泥水であり、会社と代表取締役は2024年に水質汚濁防止法違反として略式起訴され有罪となった。この事件の特徴は、下水道排除事業者であっても、構内から公共用水域へ排出される「雨水」を含む水が規制対象となり、特定施設の届出義務や排水基準が適用される点にある。事件は地元漁業協同組合の告発を契機とし、刑事事件では両罰規定も適用された。しかし、25年10月の民事調停では予想外の結果に終わった。筆者は地方の検察庁に出向き、膨大な資料を2日間かけて閲覧し、関係者への聞き取りも行った。
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